『VIVANT』別班員救出の裏で“野崎”阿部寛が仕掛けた一手? ジャミーンを巡る言動を考察

 10月11日に放送された『VIVANT』(TBS系)第20話では、息をつかせぬ展開によって別班員の救出ミッションが描かれた。

 拘束された黒須(松坂桃李)たちが命の危険にさらされ、タイムリミットが迫る中で、予定より1日早く奪還作戦の開始が決断された。シンシーに協力する村人たちを懐柔し、作戦が決行される。

 その頃、ハン(宮下今日子)とリュウ(堺雅人)は、情報ブローカーのタイラン(Mirza Aghabayli)を通じて、核融合科学者エリシャ・ママドフ(Manaf Dadashov)に事情聴取を行っていた。当時2歳だったエリシャの娘プリシャを連れ去ったのは、ノゴーン・ベキ(役所広司)と「若いサムライ」の2人だった。野崎(阿部寛)が知るテントの情報と照合したところ、それはアディエル(Tsaschikher Khatanzorig)で、アディエルが養育していたジャミーン(本間さえ)とプリシャが同一人物であることが示唆された。さっそくリュウは、日本にいるジャミーンを拉致するようハンに進言する。

 満を持して始まった別班員の奪還作戦は、大方の予想を裏切って1話で完了。別班員を救出して撤退し、国外へ脱出する途中で第20話は終了した。乃木(堺雅人)とノコル(二宮和也)たち奪還チームの周到な準備と前倒しの計画が奏功したことになる。

 乃木の別人格“F”が前面に出た奪還ミッションは、バトルアクションが前面に出ていた。赤外線センサーが飛び交うエントランスでのチョッキー(オーム・タナパック)の躍動的な身のこなしは、侵入作戦の見せ場になっていた。彼は、緊張感が漂う今作のコメディリリーフとして申し分のない存在感を放っている。

 深夜のミッションということもあり、城内の描写は暗いトーンで統一されていた。電気がない城の設備を兵士がボヤく台詞があったが、これは意図的なものだろう。先日、海外や配信の作品と比べて、日本のドラマの画面が明るいことが指摘されて議論になっていたが、少なくとも今作に関しては明暗の使い分けは徹底されている。それを可能にする映像クオリティが『VIVANT』では担保されている。

 アゼルバイジャンでのロケとセットを組み合わせた城内、暗視スコープ映像、ライフル照準のスナイパーシーン、銃撃戦、爆発、“ブルーウォーカー”太田(花岡すみれ)によるハッキングなど、第20話には『VIVANT』第2シーズンの撮影技術が集約されていた。

 作中で雷により通信が途切れるなどのアクシデントはあったものの、チョッキーの活躍やエージェント・フィルザ(Gulnar Yunusova)の現場指示、狙撃手ノコルの援護射撃もあって、精鋭部隊による作戦は速やかに進行。ついに別班員が拘束される城の地下へ足を踏み入れた。そこにいたのは4人の別班員で、独房の一つには人影がなかった。和田(平山祐介)はすでに絶命しており、一筋の希望は打ち砕かれた。

 たび重なる拷問に感情を見せなかった廣瀬(珠城りょう)や熊谷(西山潤)は乃木と再会して目を潤ませ、黒須も笑みを浮かべるなど、短いシークエンスから別班員の不屈の精神力と人間性が垣間見えた。

 救出した瞬間からミッションは撤退作戦に変わる。事前に想定したように、難しいのはシャキ城からの退避とゴルバド国外への脱出で、追撃を阻止しつつ、最小限の犠牲で速やかに国境を目指さなくてはならない。映画『地獄の黙示録』でも使われたワーグナー作曲「ワルキューレの騎行」が流れる中、銃弾が飛び交う暗闇を奪還チームが駆ける。背負われた黒須たちの表情をとらえたスローモーション映像が臨場感を増幅していた。

 乃木たちは追っ手を振りきることができるだろうか? 通訳機と衛星画像がシャットダウンしたことで、多国籍チームでコミュニケーションのミスが発生し、司令室や後方支援との連携に齟齬をきたすおそれがある。別班員の奪還を知ったシンシー本部も、すぐに態勢を整えるだろう。

 第20話で、野崎は、リュウに問われるままにアディエルやジャミーンの存在を明かしていた。ドラム(富栄ドラム)の必死の制止も届かず、野崎はリュウの言いなりになっているように見える。ただし、野崎が自らの意志を放棄していないと思われる描写もあった。たとえば、暴れるドラムを取り押さえる際に、野崎はとっさにイスを投げつけて動きを封じている。また、連行中にリュウとハンの会話を聞いていると思われる場面もあった。

 野崎はあえてジャミーンの存在を知らせることで、シンシーの目を乃木たちから逸らしているのだろうか。予断を許さない状況であり、東京の薫(二階堂ふみ)とジャミーンのもとにリュウ自身が出向くことも考えられる。リュウが乃木に変装した場合、人間の善悪を見抜くジャミーンは別人だと判断するはずだが、はたして……。

 スペクタクルなアクションシーンを詰め込んだ第20話のあとに、どんな展開が待ち受けているのか。政治的な観点はいったん置いて、本作には活劇の痛快さがあり、この作品がどんな場所に着地するか最終話まで目が離せない。

■放送情報
日曜劇場『VIVANT』第2シーズン
TBS系にて、毎週日曜21:00〜21:54放送
出演:堺雅人、阿部寛、二階堂ふみ、竜星涼、山中崇、Barslkhagva Batbold、Tsaschikher Khatanzorig、富栄ドラム、林原めぐみ(声の出演)、内野謙太、花岡すみれ、本間さえ、二宮和也、井上順、林遣都、内村遥、井上肇、市川猿弥、市川笑三郎、平山祐介、珠城りょう、西山潤、宮下今日子、Tanapak Jongjaiphar、濱田岳、坂東彌十郎、小日向文世、キムラ緑子、松坂桃李
原作・演出・プロデュース:福澤克雄
プロデューサー:飯田和孝
製作著作:TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/VIVANT_tbs/
公式X(旧Twitter):@TBS_VIVANT
公式Instagram:tbs_vivant
公式TikTok:vivant_tbs

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