『豊臣兄弟!』井上和が作り上げる“新たな茶々像” 乃木坂46で培った経験も武器に

 NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』で乃木坂46の井上和が演じる茶々が、いよいよ大きな転機を迎える。10月11日放送の第39回「茶々の本心」では、秀長(仲野太賀)が秀吉(池松壮亮)に後継者となる実子をもうけるため新たな妻を迎えるよう進言し、その相手として茶々の名を挙げる。これまで秀吉に対して距離を置き続けてきた茶々が、どのような思いでその話を受け止めるのか。本作における茶々像が、ここから本格的に動き出しそうだ。

 井上が成長した茶々として初登場した第30回「清須会議」から印象的だったのは、何よりもその目だ。母・市(宮﨑あおい)を思う気持ちを隠そうともせず、秀吉をまっすぐに睨みつける。その後も、秀吉から贈られた祇園社のお札を「亡き父のお守りがある」と受け取らず、京土産にも興味を示さないなど、長政(中島歩)と市の娘であることを強く意識している姿が描かれてきた。初(田牧そら)や江(西川愛莉)が秀吉との距離を少しずつ縮める中でも、茶々だけは簡単に心を許さない。

 こうした人物を演じるうえで、井上の佇まいは実によく映える。声を荒らげたり、感情を大きく表へ出したりしなくても、視線を少し動かすだけで茶々の警戒心や苛立ちが伝わってくるからだ。以前、井上の茶々役への期待を書いた際も、大きな瞳が役者としての武器になっていると記したが、実際の放送を見てもその印象は変わらない(※1)。むしろ回を重ねるにつれて、強く睨むだけではなく、相手の言葉を一度受け止めたうえで揺れる表情まで見せるようになっている。

 第38回「和を以て、大和をなす」で、そんな茶々に初めて明確な変化が訪れた。秀吉は「豊臣」という新たな氏に込めた思いを語り、その中に茶々たちも含まれていることを伝える。物陰からその言葉を聞いていた茶々は、初めて秀吉に微笑みを見せた。ここまで頑なだったからこそ、そのわずかな笑顔が妙に印象に残る。

 さらに、乃木坂46ファンにとって胸が熱くなったのは、茶々が弓を射る場面だろう。井上は高校時代に弓道部に所属しており、ファンの間ではよく知られたエピソードでもある。矢をつがえ、的を見据える一連の所作にはさすがの説得力があり、これまで井上自身のパーソナルな一面として知られてきた経験が、大河ドラマの中で茶々という人物を形作る要素として生かされていることがうれしい。本作の茶々は誰かに守られるだけの姫ではない。弓を手にする姿からも、自分の意思を持ち、自分の目で相手や置かれた状況を見定めようとする女性であることが伝わってくる。

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