渡部篤郎、『ブラッサム』で放つ圧倒的な存在感 “史上最狂の父親”を成立させたカリスマ性

鳥には優しいけれど人間には厳しい――清治の矛盾
鳥に優しいのはいいけれど、人間にももっと優しくしてほしいところである。妻のリョウ(国仲涼子)がカナリヤを外に逃がしてしまったときも、清治はもちろん怒り狂っていた。その剣幕たるや、生類憐れみの令を出した徳川家綱かと思うほどである。もちろん、命と同じくらい大事なものを失った悲しみは理解できる。それでも、リョウはわざと逃がしたわけではない。もう少し、彼女の気持ちに寄り添ってあげてもよかったのではないだろうか。
「度胸もあるし、頭もええ。ワシに似ちょる」
女学生になった珠(石橋静河)に、清治はこう語りかける。清治は、珠が不服そうな顔をしたと思っていたようだが、わたしにはむしろ、少し嬉しそうに見えた。あれだけ振り回され、「もう嫌だ」と思わされてきた父親なのに、「似ている」と言われることが、どこかくすぐったい。やっぱり珠にとって清治は、ただ嫌いになればそれで終わるような父親ではないのだろう。
腹が立つのに、認められたい。距離を置きたいのに、自然と目で追ってしまう。そんな矛盾した感情を抱かせるところに、清治という人物の厄介な魅力がある。そして、その嫌いになりきれなさに説得力を与えているのが、渡部篤郎が持つ圧倒的な存在感なのだ。
■放送情報
2026年度後期 連続テレビ小説『ブラッサム』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜から金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:石橋静河、加賀まりこ、松たか子、国仲涼子、渡部篤郎ほか
作:櫻井剛、小松與志子
主題歌:YOASOBI
制作統括:村山峻平、櫻井壮一
プロデューサー:大野陽平
演出:盆子原誠、中泉慧、佐藤玲衣、田中陽児、小林直毅、野田雄介
写真提供=NHK





















