『ブラッサム』“清治”渡部篤郎が娘に初めて見せる“良き父”の一面 珠の将来にも影響?
NHK連続テレビ小説『ブラッサム』第4話は、珠(村上蘭)と父・清治(渡部篤郎)の関係が、ひとつの作文をきっかけに少しだけ変化していく回となった。厳しく、時には何を考えているのか分からない父。それでも珠は、清治のことを誰よりもよく観察していた。
宿題として出された「父について」の作文をようやく書き上げた珠。ところが、尋常小学校の先生から、その作文を父親の前で発表することを提案されてしまう。思わず大きな声を上げてしまう珠の姿も愛おしい。どうやら、自信満々で父に聞かせられるような内容ではないらしい。
珠は母のリョウ(国仲涼子)に「うち、困るわ」と相談する。かといって、清治に内緒にしたまま発表の日を迎えるわけにもいかない。意を決して清治にそのことを伝える珠。「何について書いた?」と聞かれ、一瞬言葉に詰まりながらも、「おととさまのことを書きました」と素直に答える。すると、それまでどこか堅かった清治の表情が少しだけ緩む。「面倒じゃのう」と口では言いながら、その様子を見るに、まんざらでもなさそうだ。
発表の日、教室には父親たちの姿がまばらに並んでいたが、その中に清治はいなかった。ところが、いよいよ珠の番が回ってくると、遅れて清治が教室に入ってくる。珠の作文は「父はよく私を叱ります……」という一文から始まった。父を「放蕩無頼」と評する一方で、珠が作文の最後に書いたのは、夜にひとりでカナリアを愛でる清治の横顔であった。普段の清治からは想像しづらい、静かで柔らかな一面。珠は父の怖さやだらしなさだけではなく、誰にも見せていないような姿までしっかりと見ていたのだ。
教室が静まり返る中、清治は突然、高らかに手を叩きながら笑い出す。娘からこれほどまでに率直に書かれれば、怒ってもおかしくない。清治の性格であればなおさらだ。それでも清治は怒ることなく、それどころか、その後は珠の作文を町の人たちにまで見せびらかして回る。普段はなかなか見せないそのはしゃぎようからも、よほど嬉しかったことが推察される。
珠にとって、それは初めて父から褒めてもらえたと実感できる出来事だったのだろう。清治の反応を見た珠の表情には、隠しきれない喜びが浮かぶ。清治から分かりやすく愛情を注がれることが少ないからこそ、その嬉しさも大きい。怖い父であっても、珠はずっとその背中を見ていたし、どこかで認めてもらいたかったのかもしれない。
同時に、ここには後に“書くこと”へと深く関わっていく珠の片鱗も見える。良いところだけを書いて相手を持ち上げるのではなく、欠点も含めて一人の人間として見つめ、それを言葉にする。まだ幼い珠ではあるが、人を観察し、自分が感じたことを文章にする姿には、すでに彼女らしさがにじんでいる。
そんな父娘の穏やかな時間をつなぐ存在となっていたのが、カナリアだった。だが、そのカナリアをリョウが逃してしまったことで、空気は一変する。清治は激怒し、珠が家へ帰る頃にはリョウの姿もない。清治によれば、実家にでも帰ったのだろうという。
つい先ほどまで、珠の作文を嬉しそうに見せびらかしていた清治とはまるで別人のようだ。何より、作文の中で珠が書いていた「カナリアを愛でる父」の姿を思えば、その鳥が清治にとって決して軽い存在ではなかったことも分かる。
落ち込む清治を前に、珠は「うちがカナリアを探します!」と言って家を飛び出していく。穏やかな時間もカナリアがいなくなったことであっけなく崩れてしまう。リョウも家を出て、再び清治と珠との間に不穏な空気が流れ始める。2人の不安定な父娘関係はどうなってしまうのか。
■放送情報
2026年度後期 連続テレビ小説『ブラッサム』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜から金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:石橋静河、加賀まりこ、松たか子、国仲涼子、渡部篤郎ほか
作:櫻井剛、小松與志子
主題歌:YOASOBI
制作統括:村山峻平、櫻井壮一
プロデューサー:大野陽平
演出:盆子原誠、中泉慧、佐藤玲衣、田中陽児、小林直毅、野田雄介
写真提供=NHK