YOASOBI、『ブラッサム』主題歌に込めた願い 「宇野千代先生と一緒に書き上げた感覚」
現在放送中のNHK連続テレビ小説『ブラッサム』。作家・宇野千代をモデルにした本作で、主題歌「咲き誇れ」を担当するのがYOASOBIだ。主人公・葉野珠(石橋静河)の波乱万丈な人生を軽やかに彩り、毎朝視聴者の背中を押すようなエネルギーに満ちたこの楽曲は、いかにして生まれたのか。楽曲制作を担当したAyaseと歌声を吹き込んだikuraに、楽曲制作の裏側やタイトルバックへの思い、そして主題歌という大役への心境をたっぷりと語ってもらった。
宇野千代から学んだ「今」を生きる強さ
ーー今回、楽曲制作にあたって舞台となる山口県・岩国市へ実際に行かれたそうですね。現地の風景や空気感は、楽曲にどのように生かされていますか?
Ayase:「生きた」というか、本当にすべてが影響をもたらしてくれました。失礼ながら、今回のお話をいただくまでモデルになった宇野千代さんのことを存じておらず。実際に先生の書かれた『生きて行く私』などの自伝的小説やエッセイを読ませていただいて制作に取り掛かったタイミングで、「これは同じ山口県出身としてもそうだし、楽曲を担当する人間として、ちゃんと先生の生きた場所に僕も行かないと書ききれないな」と思ったんです。実際に足を運んで生家も見させていただき、錦帯橋などの風景を見て、そこの空気に触れて帰ってきた次の日には、もう全編が完成したくらいです。言語化が難しいのですが、先生の生きた街の空気に触れたことで一気に書き上げられましたし、先生の生きた証みたいなものを拾いに行くことができたなと思います。
ーー宇野千代さんの自伝や生き方から、具体的にどのようなインスピレーションを受けられたのでしょうか。
Ayase:『生きて行く私』を読んで、本当に僕の人生においても結構鮮烈で衝撃的な出会いでした。どんな困難があってもポジティブなマインドを持ち続けている。人生というものを名詞的ではなく“動詞”として捉えているというか。「私が書いた作品」や「作ったデザイン」という過去の結果よりも、「私は(今)書いている」「私は作っている」「私は今、誰が好きなの?」というように、常に「今」を生きていて、未来をずっと見ている。そのポジティブさや軸がブレない生き方に、すごく勇気づけられました。今でも何かグッと精神が落ち込みそうになったときには、自分の中に宇野先生を憑依させるというか(笑)。「宇野先生だったら今の困難をどういう風に楽しむだろうか」と考えて、日々を前向きに捉えられるようになりました。先生の思いに対して感銘を受けた人間として、自分を重ねて書いたという感覚です。
ーーikuraさんは、この楽曲を歌うにあたってどのような思いがありましたか?
ikura:宇野千代さんの生き方、生き様が本当にかっこよくて。幸せも不幸せも全部自分で抱きしめて、自分で一つひとつの選択をしていく。それが良い結果になったとしても、そうじゃなかったとしても、全部を受け入れて力強くまっすぐ生きていく。その物語の主題歌を歌わせていただくからこそ、自分の感情とちゃんとリンクさせながら歌わなければいけないという思いがありました。自分が珠さんとして、宇野千代さんとしてセリフのように歌詞を歌うとき、自分の口から出ていく言葉にすごく勇気づけられたり、背中を押されたりする感覚がありました。この楽曲を毎朝聴いていただいて、小さい子から大人までみんなが口ずさんだときに、歌いながら強くなっていけるようなフレーズと歌になっていたら嬉しいなと思っています。