松本若菜はなぜ人を惹きつける? 『君の好きは無敵』で期待したい“ギャップ演技”

 松本の「ツンデレ的な演技」が光っていた作品のひとつに、『西園寺さんは家事をしない』(TBS系)で演じた西園寺が挙げられる。本作は、家事を一切しない38歳独身の西園寺が、訳あり年下シングルファザー・楠見(松村北斗)に恋をするストーリーだ。劇中で相手の思いに触れた瞬間、西園寺は思わず勢い余って「違う!!」と叫んでしまい、自分でも驚いたように「……お、おおお?」と目をまん丸に見開く。

 まさか相手から「好き」が返ってくるとは思っていなかったのだろう。鋭い視線が持ち味の彼女が、予想外の展開に完全にペースを崩されてしまい、素のリアクションをさらけ出す姿は、なんともお茶目で愛らしかった。

 キャリアウーマンとして強く生きてきた彼女は、好きな人に対し「素直な気持ち」を伝えるのが苦手だ。そんな西園寺が「気持ちを伝える」瞬間に見せた瞳は、いつもの鋭さとはまるで違い、驚くほどうるんでいた。普段は冷静で自立した女性が、恋に落ちた瞬間だけそっと覗かせる「素の弱さ」。その一瞬の揺らぎが、松本の演技によって鮮やかに浮かび上がった貴重な瞬間だった。

『西園寺さん』『わたしの宝物』『はたらく細胞』 “松本若菜イヤー”となった2024年

苦しい展開が続く『わたしの宝物』(フジテレビ系)では、俳優たちがそれぞれの方法で複雑な感情を表現している。その中でも、やはり主演…

 松本はシリアスな演技も巧みだ。ドラマ『わたしの宝物』(フジテレビ系)では、外面は良いが乱暴な言葉をぶつける夫(田中圭)に対し、幼なじみ・冬月(深澤辰哉)との子を妊娠したことを隠し続ける美羽を演じた。

 美羽が置かれた状況は複雑だ。夫に嘘をつき続けることも、許されない恋である冬月との関係を続けることも、どちらを選んでも常に罪悪感がつきまとう。どちらにも正解がなく、逃げ場のない二重の苦しみが、美羽の心をじわじわと追い詰めていく。

 そんな彼女の心情は、少しずつ憂いを帯びていく瞳や、物語が進むにつれて鋭い眼光を見せる瞬間、やがて目から光が奪われていくような表情の変化によって、ひしひしと伝わってきた。感情を爆発させるのではなく、静かに沈んでいく心の動きを「目で語る」演技は、松本の表現力の高さを物語っていた。

 『君の好きは無敵』ではコメディだけでなく、恋愛や仕事での葛藤も描かれるのだろう。松本は、ふと覗く真顔や、はっとした瞬間の瞳、そして嬉しそうににっこり笑う表情に、素の愛らしさが滲むことがある。きりっとした役柄の女性であっても、どこか柔らかい魅力があるからこそ、視聴者が自然と応援したくなるのだろう。

 予告では、まだ甘いラブシーンの気配はなく、ドタバタとした掛け合いばかりが映し出されていた。2人がどのように距離を縮めていくのかは、今のところまったくの未知数だ。けれど、クールからコミカル、そして切ない表情まで自在に操る松本若菜だからこそ、物語のどこかで必ず「ギャップ萌え」を感じる瞬間が生まれるはずだ。松本は本作で一体、どんな表情を見せてくれるのか。今から放送が待ち遠しくて仕方ない。

■放送情報
火曜ドラマ『君の好きは無敵』
TBS系にて、7月14日(火)スタート 毎週火曜22:00〜22:57放送
出演:松本若菜、佐野勇斗、小野花梨、金田哲(はんにゃ.)、中村隼人、白本彩奈、島崎和歌子、藤井隆
脚本:宮本武史
演出:竹村謙太郎、府川亮介、渡部篤史、尾本克宏ほか
主題歌:星野源
プロデューサー:岩崎愛奈
協力プロデューサー:小髙夏実
編成:吉藤芽衣
取材協力:株式会社サンリオ
製作:TBSスパークル、TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/kiminosukihamuteki_tbs/
公式X(旧Twitter):@kiminosuki_tbs

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