『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』はリピート向き? ファンが“追い鑑賞”したくなる理由
劇場版『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』の勢いが止まらない。興行収入100億円をあっという間に突破した上、副音声上映、応援上映、SCREENX、ULTRA 4DXといった追加施策も相次いで発表されている。
こうした大ヒットを支えているのは、何度も劇場に足を運ぶファンたちの存在だろう。そもそも同作は“リピート向き”の内容となっているので、その仕組みについて考察してみたい。
同作の物語はコナンたちがバイクの祭典「神奈川モーターサイクルフェスティバル」に向かっている最中、暴走する謎の黒いバイクと遭遇するところから始まる。そのバイクは「ルシファー」と呼称されることになり、やがて大規模な事件へと発展。神奈川県警の白バイ隊小隊長・萩原千速を絡めたバトルミステリーが繰り広げられる。
そんな同作の大きな見どころは、千速を中心に展開される白バイアクションだ。まず冒頭から黒いバイクが暴走し、その後を千速のバイクが追いかけるという形で、チェイスシーンが繰り広げられる。そして危うく一般人に犠牲者が出そうになるところを、千速のファインプレーが救うという手に汗握る展開が描かれるのだった。
その後も作中では、随所にチェイスシーンが登場。バイクや車が猛スピードで道路を駆け抜けていく様子は、かなり見応えがある。さらに後半では、劇場版『名探偵コナン』でお馴染みの爆弾も物語に関わってくるのだが、チェイス×爆弾とでもいうべき展開が用意されている。大規模な爆破シーンが見せ場になっているわけではないが、紛れもないアクション大作として評価できるだろう。
とくにチェイスシーンはたんに映像を観て楽しむものではなく、スクリーンに観客を巻き込み、そのスリルを疑似体験させてくれるような性質がある。だからこそ「もう一度映画館に行きたい」と思わせる力があるのではないだろうか。
一度目の鑑賞でストーリーの流れや登場人物たちの人間関係を把握し、二度目以降の鑑賞でチェイスシーンの迫力に身を委ねる……。そんな楽しみ方ができるのが、今年の劇場版『名探偵コナン』だといえる。とくにSCREENXやULTRA 4DXで鑑賞すれば、なおさら強い快感を味わえるはずだ。
今作が“リピート向き”となっている理由は、もう一つ挙げられる。端的に説明すると、千速が己の過去と向き合うサブプロットの存在が大きい。
千速の弟・研二は警察の爆弾処理班だったが、7年前にその命は失われている。そして研二の親友で、自分とも距離の近かった松田陣平も爆破事件で喪失しているのだった。
今作では千速の脳裏にそんな2人の存在が蘇り、“松田は自分に対して何を言っていたのか”としきりに思いを馳せる。そしてこのことが物語終盤のキーポイントにもなっていた。
つまり同作は表面上、カーチェイスなどのスリルに満ちた展開が押し出されているが、実は千速が過去と向き合う物語でもある。“残された人間”の感情を描く場面によってこそ、たんなるアクション映画で終わらない立体感が与えられているのだ。ストーリーの全貌を頭に入れた上でもう一度鑑賞すれば、じっくりとキャラクターの表情やセリフの意味に意識を向けられるだろう。
また千速や研二、松田は本編の出番が多くないため、もしかすると3人の関係性がよく分からないまま今作を観たという人も多いかもしれない。その場合は、予備知識を頭に入れてからもう一度鑑賞すると、より味わいが深くなるはずだ。
たとえば研二と松田の掛け合いなどは、一見大した意味のないシーンに見えるかもしれないが、その背景を知っていると失われた時間の重みに切なさを感じられるのではないだろうか。
また本作の終盤、バイクに爆弾が仕掛けられていることが判明し、コナンがそれを解体しようとする場面なども、研二と松田の最期を知っているかどうかで大きく意味が変わってくる。
研二たちのことを振り返る動画を“入門編”としてYouTubeで公開するなど、公式の施策も充実している。上映期間が続いているうちに、ぜひ『ハイウェイの堕天使』を味わい尽くしてほしい。
■公開情報
『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』
全国公開中
キャスト:高山みなみ(江戸川コナン役)、山崎和佳奈(毛利蘭役)、小山力也(毛利小五郎役)、沢城みゆき(萩原千速役)、三木眞一郎(萩原研二役)、神奈延年(松田陣平役)
スペシャルゲスト:横浜流星、畑芽育
原作:青山剛昌
監督:蓮井隆弘
脚本:大倉崇裕
音楽:菅野祐悟
主題歌:MISIA「ラストダンスあなたと」(Sony Music Labels Inc.)
アニメーション制作:トムス・エンタテインメント
製作:小学館/読売テレビ/日本テレビ/ShoPro/東宝/トムス・エンタテインメント
配給:東宝
©2026 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会