『タツキ先生』が訴える“幸せになる価値” “しずく”松本穂香のいじめへの誠実な向き合い

 いじめは、いじめを受けた人間から自尊心を奪っていく。ゆえに「いじめの後遺症」と呼ばれ、対人への恐怖や心身の不調から、いじめから逃れた後も人生がうまく運ばないことも多い。だが、“人生の紙芝居”を通じて、しずくには新たな気づきがあった。一つは、何度つまずいても、その度に起き上がって頑張ってきたこと。そしてもともとは学校が大好きで、いじめに遭わなかったとしても教師になっていたであろうということだ。

 ゲームの対戦は苦手だが、回復アイテムのりんごを集めることには長けているしずくは、その特技を活かして智紀にアプローチをかける。どんなに拒絶しても諦めずに自分と向き合おうとしてくれるしずくに、智紀も心が動いたようだ。しずくがビーチを掃除した後、ゲームの大会が行われるイベントに誘うと、智紀はきてくれた。そこで、いじめを受けていた過去を明かし、「智紀さんにはこれから、好きなことのために時間を使ってほしい」と告げたしずく。

 いじめに遭った側が苦しみ続け、いじめをした側は過去を忘れて楽しく生きていくなんて、あまりに理不尽だ。だから、いっそ消えてしまいたいと思うのも、自分をいじめた人間に復讐したいと思うのも、正直理解できる。でも、どうか実行に移す前に一度立ち止まってほしいという気持ちがこの作品には込められているのではないだろうか。いじめを受けた自分には価値がないと思ってしまうかもしれないが、そんなことは絶対にない。あなたには好きなことをして、幸せになる価値があるという叫びが、今回のエピソードからはひしひしと感じられた。

 しずくは自分をいじめた人間を見返すために憧れていた教師になったが、うまくはいかなかった。それでも、フリースクールという学校とはまた違う場所で子どもたちと向き合う仕事に就き、今がある。「もしいじめに遭っていなかったら、もっと自分に自信があって、子どもたちから人気もあって、笑顔が溢れているような未来だったのかな」とタツキに語ったしずくが、いつの間にかその思い描いた未来に立っていたように、今は辛くて先が見えないけれど、好きなことを追い求めているうちに、ふと救われる瞬間が訪れるかもしれない。eスポーツの専門学校に進学することを決めた智紀も、いつかはきっと。

 智紀と向き合うことで、しずくも過去の傷を癒すことができた。次はタツキの番だ。三雲に「今度はしーちゃんらしいやり方で彼の背中を押してあげたらいいんじゃないかな」と言われたしずくは、『ユカナイ』に元妻の優(比嘉愛未)を招いてはどうかとタツキにアドバイスを送る。そして当日、しぶしぶ訪れた優に蒼空(山岸想)と話がしたいと頼んだタツキ。そこに、タツキを「パパ」と呼ぶ小学3年生の海音(池村碧彩)が乱入する。またもや誤解を呼びそうな状況だが、果たして家族修復の道は開かれるのだろうか。

■放送情報
『タツキ先生は甘すぎる!』
日本テレビ系にて、毎週土曜21:00〜放送
出演:町田啓太、松本穂香、藤本美貴、寺田心、三遊亭好楽、比嘉愛未、江口洋介
脚本:徳尾浩司
演出:鈴木勇馬
音楽:得田真裕
主題歌:福山雅治「拍手喝采」(アミューズ/Polydor Records)
フリースクール監修:石井しこう
アートセラピー監修:浜端望美
企画協力:前田志門
プロデューサー:岩崎秀紀、秋元孝之、大護彰子
チーフプロデューサー:荻野哲弘
制作協力:オフィスクレッシェンド
製作著作:日本テレビ
©日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/tatsuki/
公式X(旧Twitter):https://x.com/tatsuki_ntv

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