『GIFT』引かれ合う二つの星 山田裕貴が本田響矢の中に見たかつての自分
4月26日放送の『GIFT』(TBS系)第3話では、岐路に立つエースの選択が描かれた。
圭二郎(本田響矢)が新たに加わったブレイズブルズでは、さっそく不協和音が鳴り響いた。挑発的な態度で周囲を凍りつかせる圭二郎は、「俺はエースになる男なんだよ」と豪語。競技のルールを知らず、強気なプレーで周囲をあおってはいら立たせていた。
メンバーの矛先は問題児を加入させた伍鉄(堤真一)に向かう。キャサリン(円井わん)に「これ以上かき回さないで。ド素人が」と非難された伍鉄は、事態を収拾するどころか「いっそのこと解散しましょう」と火に油を注ぐ始末。あまりにカオスな状況で、チーム練習を休止せざるを得なかった。
化学反応といえば聞こえはいいが、実際は勝手気ままに言いたいことをぶつけているのが、第3話のブルズの現状だ。普通なら何とかしようと悪あがきするところだが、伍鉄が気に病む様子はない。けれども、ガスや塵がふたたび星になるための動きは、水面下で進行していた。
伍鉄との勝負に敗れ、エースの座を追われた涼(山田裕貴)。そんな涼をライバルのシャークヘッドが引き抜こうとする。ヘッドコーチの国見(安田顕)に続いて、かつてのチームメイトの谷口(細田佳央太)も涼を誘った。シャークの練習に参加し、ブルズとの違いを見せつけられた涼の前に伍鉄が姿を現した。
第3話は、この国で車いすラグビーが置かれた現状を鋭く切り取っていた。「パラスポーツは最初に切り捨てられる側」という国見の認識は、社会の周辺に追いやられる障がい者スポーツのポジションを物語っていた。その構造を根本から変えるために勝ち続けなければならない、という悲壮な決意に胸を衝かれた。
固定化された社会の偏見を逃げずに正面から受け止めると、国見のようになるのだろう。これに対して、伍鉄は別の角度から解を導き出す。「自立すればいい」という言葉は、当事者からすると現実をわかっていないと非難されかねないが、真意は別のところにある。
国の支援に頼るのではなく、プロ化を目指して自立する。伍鉄と国見がやろうとしていることは、実はそこまで違わないのだが、伍鉄が言っているのは、メンタリティーと視点の転換なのだと思う。
視点を変えて見ることは、今作を動かす力学かもしれない。目の前の現実に対して、宇宙的なスケールで思考すること。それは、失意のエースがふたたび輝きを取り戻すためのヒントになった。
涼は伍鉄の研究室を訪ねる。圭二郎が登場したことで、自分は終わった人間だと感じたのかもしれない。「俺は本当に生まれ変われるのか」という問いかけに、伍鉄は学者らしく、冷静に確率は極めて低いと言ってから、こう続けた。
「あなたが誰かと引き合えば話は変わります」「自分の意志で自分の重力を持てば、再び光を放つ」
涼の中で時計の針は止まったままである。あの日、全てを失ってから、なくしたものを取り戻すことはかなわなかった。その中で出会った車いすラグビーは、自分にとって何だったのか。人が離れていった自分を、涼自身が信じることができなかった。その自分が誰かと引き合うことができるのか。
結論から言えば、その答えは涼の中にあったのだが、それを見つけるのは涼だけではできなかった。人間だれしも一人だけで輝くことはできない。縁に触れて、触発し合うことで眠っていた力が呼び覚まされる。まるで重力が作用するように。そのことを知る伍鉄は、涼をもう一つの“星”のもとへ連れて行った。
涼が圭二郎の中に見ていたのはかつての自分で、車いすラグビーと出会った頃の初心だった。暗闇の中で輝こうとする星の残骸、生まれ変わろうとする星の姿がそこにあった。その思いは、ブルズのメンバーにも共通していた。それを一言で言うと「好き」という言葉になるのだろう。
「好き」、正確でいうと好きでいたい。自分自身と自分の周囲の人々を。自分が生きているこの人生を、この世界を。人香(有村架純)がメンバーの中に見た「好き」という気持ちは、自分を信じたいと願う祈りそのものと言い換えられる。それを否定することは、誰もできない。
坂東(越山敬達)の母・陽子(西尾まり)の登場や、ちょい出しで引っ張り続ける坂本(玉森裕太)の存在など、物語の「星の種」がそこかしこにちりばめられている『GIFT』。引かれ合う星々によって、ビッグバンが起こる瞬間を楽しみにしている。
■放送情報
日曜劇場『GIFT』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:堤真一、山田裕貴、有村架純、本田響矢、細田善彦、細田佳央太、円井わん、越山敬達、八村倫太郎、やす(ずん)、水間ロン、冨手麻妙、ノボせもんなべ、杢代和人、宮﨑優、生越千晴、町田悠宇、澤井一希、中山脩悟、田口浩正、西尾まり、真飛聖、麻生祐未、菅原大吉、吉瀬美智子、玉森裕太、安田顕、山口智子
脚本:金沢知樹
企画・演出:平野俊一
演出:加藤尚樹、伊藤弘晃
プロデューサー:宮﨑真佐子、内川祐紀
協力プロデューサー:中澤美波
監修・協力:一般社団法人日本車いすラグビー連盟
製作著作:TBS
©TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/GIFT_tbs/
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