『呪術廻戦』『葬送のフリーレン』で“神回”を担当! 注目アニメーター・藤本航己とは
作画も演出もクオリティの高い作品が目白押しだった2026年冬アニメ。そのなかでもとくに注目したいのが、藤本航己というアニメーターだ。『呪術廻戦』第3期や『葬送のフリーレン』第2期で立て続けに“神回”を生み出したことで、アニメファンから熱い視線を浴びている。
まず大きな衝撃を呼んだのは、『呪術廻戦』第3期の第55話「東京第1結界②」だ。この回で藤本は通常大勢のアニメーターで担当する原画をたった1人で受け持つ“1人原画”を行っていた。
第55話の内容としては、主人公・虎杖悠仁と対峙する敵キャラクター・日車寛見の過去に焦点を当てた回だった。日車は元々強い信念をもった弁護士で、強盗殺人の疑いをかけられた青年の弁護を担当しており、一審では見事無罪を勝ち取る。しかしその後、思いがけない出来事が起きて現実に絶望し、「死滅回游」に参戦するのだった。
過去編のパートでは戦闘どころかアクションすらほとんどないものの、その分日常芝居に力が入っており、『呪術廻戦』でも異色の回となっている。たとえば日車法律事務所で日車が部下の女性・清水と会話するシーンは、何気ない日常の一コマを切り取っているようでいて、それぞれの性格や距離感を浮き彫りにするような細かい芝居が満載だった。
なお藤本自身がX(旧Twitter)に投稿したポストによると、この回では実写映像をあらかじめ撮影し、それをもとに作画を行う“ロトスコープ”の技法を活用していたとのこと。そのために物語の舞台となった盛岡まで行ってカーブミラーの前で全力疾走したり、スーツでバスタブに入ったりしたという。(※1)
その一方、『葬送のフリーレン』の第2期で藤本が手掛けたのは、第8話「立派な最期」(通算36話)だった。
同エピソードはシュタルクとゲナウが強大な力をもった魔族“神技のレヴォルテ”と対峙する一方、その配下の魔族ゾリーダ、ヘモンを倒すためにフェルンとメトーデが奮闘するという回で、冒頭から結末までアクション満載。作画のクオリティは、これまでの『葬送のフリーレン』シリーズでも屈指の出来栄えだった。
しかもアニメでは原作よりも戦闘シーンが大幅に肉付けされており、レヴォルテに吹き飛ばされたシュタルクが斧を背後に突き立てて衝撃を相殺したり、ゾリーダに肉薄されたメトーデが華麗な体さばきを見せたり、シュタルクが斧を投擲する際にぐるぐると全身を回転させて遠心力を上乗せしたりと、イマジネーションに満ちた動きが随所に盛り込まれていた。
藤本はこの回でも一部原画を担当しているが、基本的には絵コンテ・演出という立場で携わっている。しかしアクション作画監督を務めた岩澤亨のX(旧Twitter)によると、その絵コンテには、かなり具体的に登場人物たちの動きのイメージが描き込まれていたようだ。(※2)
『呪術廻戦』の日常芝居も含めて考えると、おそらく藤本はたんに絵が上手いだけではなく、作品の魅力を引き出す演出能力にも長けているのではないだろうか。
なお藤本は『葬送のフリーレン』第1期の制作にも関わっており、第9話「断頭台のアウラ」でのフェルンとリュグナーの戦い、第25話「致命的な隙」のフリーレンの複製体との戦いなどで、ド派手なアクションシーンを手掛けていた。そのほかにも『チェンソーマン レゼ篇』など、さまざまな話題作に名前をクレジットされている。今後にもっとも期待が高まるクリエイターの1人といえるだろう。
最近『超かぐや姫!』を大ヒットさせたアニメ監督の山下清悟も、元々は凄腕のアニメーターとして有名だった人物だ。藤本も同様のキャリアを辿って、新世代のアニメ作家として名を馳せていくことに期待したい。
参照
※1. https://x.com/kojikimo/status/2029941485257510981
※2. https://x.com/miru_9Q/status/2032468128253493254