興収で読む北米映画トレンド

『プロジェクト・ヘイル・メアリー』大ヒットで北米No.1 『オッペンハイマー』以来の記録も

 もっとも本作の場合、ハードなSF映画ではなく、コメディタッチの奮闘劇としてアピールした戦略が奏功したという分析もある。PG-13指定というレーティングも含め、ファミリー映画に近い立ち位置で認識されたのではないか、というのだ。

 ある意味でそのことを示しているのが、今週第2位のディズニー&ピクサー映画『私がビーバーになる時』の成績だった。公開3週目で首位を譲り、週末興収は事前予測の2000~2100万ドルを下回る1800万ドル。それでも北米興収1億2038万ドル、世界興収2億4258万ドルと順調だが、思わぬ伏兵によってポテンシャルをやや削られた形だ。

『私がビーバーになる時』©2026 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

 製作費は2億ドルのため、コスト回収の道のりはまだ遠い。けれども本作のスタートダッシュは、配信のイメージが濃厚なAmazonにも、ヒット作を求めてやまない映画館業界にも大きな意味があった。北米では『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー』が4月1日に公開されるまでライバル不在だが、2週目の成績をどこまでキープできるかがまずはポイントとなる。

 そのほか今週は、第3位にヒンディー語映画『Dhurandhar: The Revenge(原題)』が、第4位に『レディ・オア・ノット』(2019年)の続編映画『Ready or Not 2: Here I Come(原題)』が初登場。この順位自体だけでなく、前者がわずか987館で週末興収957万ドルを稼ぎ出し、北米におけるインド映画のオープニング成績を更新したのに対し、後者が3010館で910万ドルにとどまったのも驚きだ。

 『Ready or Not 2: Here I Come』は前作の北米オープニング成績をわずかに上回るスタートとなったが、海外21市場を含む世界興収は1190万ドルで、製作費2000万ドルに対しても渋い数字だ。前作は日本では配信リリースとなったが、映画ファンの間で支持された話題作。しかし、この手の作品で7年のギャップはさすがに長かったのだろう。日本公開は未定だが、前作と同じく配信ルートをたどる可能性は十分にある。

北米映画興行ランキング(3月20日~3月22日)

1.『プロジェクト・ヘイル・メアリー』(初登場)
8058万ドル/4007館/累計8058万ドル/1週/Amazon・MGM

2.『私がビーバーになる時』(↓前週1位)
1800万ドル(-37.2%)/3675館(-325館)/累計1億2038万ドル/3週/ディズニー

3.『Dhurandhar The Revenge(英題)』(初登場)
957万ドル/987館/累計1351万ドル/1週/Moviegoers Entertainment

4.『Ready or Not 2: Here I Come(原題)』(初登場)
910万ドル/3010館/累計910万ドル/1週/サーチライト・ピクチャーズ

5.『Reminders of Him(原題)』(↓前週2位)
800万ドル(-55.5%)/3441館(+39館)/累計3317万ドル/2週/ユニバーサル

6.『Scream 7(原題)』(↓前週4位)
430万ドル(-49.5%)/2560館(-683館)/累計1億1453万ドル/4週/パラマウント

7.『GOAT(原題)』(↓前週5位)
350万ドル(-25.1%)/2537館(-409館)/累計9750万ドル/6週/ソニー

8.『Undertone(原題)』(↓前週3位)
301万ドル(-66.8%)/2570館/累計1521万ドル/2週/A24

9.『嵐が丘』(↓前週8位)
47万ドル(-71.6%)/601館(-1300館)/累計8330万ドル/6週/ワーナー

10.『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』(↑前週15位)
28万ドル(-42%)/250館(-180館)/累計4億389万ドル/14週/20世紀スタジオ"

(※Box Office Mojo、Deadline調べ。データは2026年3月23日未明時点の速報値であり、最終確定値とは誤差が生じることがあります)

参照
https://www.boxofficemojo.com/weekend/2026W12/
https://variety.com/2026/film/box-office/project-hail-mary-box-office-biggest-debut-2026-amazon-mgm-record-1236696247/
https://variety.com/2026/film/box-office/project-hail-mary-global-box-office-shatters-expectations-1236696281/
https://www.hollywoodreporter.com/movies/movie-news/project-hail-mary-box-office-blasts-off-to-huge-opening-1236543804/
https://deadline.com/2026/03/box-office-project-hail-mary-ready-or-not-2-1236761181/
https://deadline.com/2026/03/box-office-global-project-hail-mary-1236762532/

■公開情報
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』
3月20日(金・祝)全国公開
出演:ライアン・ゴズリング、ザンドラ・ヒュラー
監督:フィル・ロード&クリストファー・ミラー
日本語吹替:内田夕夜、三石琴乃、沢城みゆき、佐倉綾音、三宅健太、山路和弘、園崎未恵、井上悟、田中美央、高島雅羅、林真里花、横堀悦夫、間宮康弘、新井笙子、神戸光歩、柚木尚子、雪村マイ、金城慶、渡辺アキラ、木内太郎、花江夏樹
脚色:ドリュー・ゴダード
原作:アンディ・ウィアー『プロジェクト・ヘイル・メアリー』(早川書房刊)
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公式サイト:https://ProjectHM.movie
公式X(旧Twitter):https://X.com/ProjectHM_movie

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