ヤンキー×医療ドラマはなぜ成立? 『ヤンドク!』髙木由佳&貸川聡子Pに聞く制作秘話

 橋本環奈主演のフジテレビ系月9ドラマ『ヤンドク!』がいよいよ最終回を迎える。ヤンキー出身の脳神経外科医という異色の主人公を軸に、医療ドラマの王道と“ヤンキーマインド”を掛け合わせた本作はいかにして生まれたのか。最終回直前に、プロデューサーの髙木由佳と貸川聡子に制作の舞台裏を聞いた。

ヤンキーは属性ではなく“マインド”が大事

ーー脚本の根本ノンジさんと橋本環奈さんは『おむすび』(NHK総合)に続いてのタッグになりましたが、この組み合わせは企画のどの段階で決まったのでしょうか?

髙木由佳(以下、髙木):私が初めて連ドラを担当した『忍者に結婚は難しい』(2023年/フジテレビ系)のあとだから……約3年前になります。貸川さんとご一緒させていただいて、お互い橋本さんとやったことがあって、「橋本さんとやりたいよね」という話をしていたんです。橋本さんは本当にお忙しい方なので、先のスケジュールを取りにいきました。

貸川聡子(以下、貸川):たまたま朝ドラの発表と近い時期でしたよね。髙木さんが『パリピ孔明』(2023年/フジテレビ系)を担当していたので、「脚本家さんは誰がいいかな?」という話になったときに、そこでご一緒されていた根本ノンジさんがいいね、という話になってお願いしました。もちろん、たぶん朝ドラのお話はすでにあったと思うんですけど、私たちは知らなかったという(笑)。全くの偶然というべきか、巡り合わせという感じですね。

ーー“月9”枠で『ヤンドク!』を立ち上げるにあたって、最初に意識した勝負ポイントはどこにありましたか?

髙木:月9枠は「医療」か「弁護士」か「刑事」という王道ジャンルをちゃんとやっていきましょうというのがあって。どのジャンルでうまくいくかなと考えた結果、橋本さんのことは若い頃からのお付き合いで“真の橋本環奈”を知っているので、いい意味で男気があるようなところをうまく出せるものがいいな、という話をしていたんです。その中で、本当にたまたまヤンキー路線でいろいろ調べていたときに、『ヤンドク!』の原案にできそうなテーマに出会って。「こんな先生が実在しているんだ」と、すごくドラマチックだなと思って。貸川さんと一緒に実際に会いに行こうよって言って、ご本人にお話を伺ったんです。そうしたら「やっぱり橋本さんに合う役になりそうだね」と。同じようなマインドを持って、お仕事に対して誠実に向き合っているところも含めて、彼女が演じるにはとてもいいんじゃないかというのを2人の中で感じて。月9の王道ジャンルである医療ものだけど、“ヤンキー”というスパイスを効かせてやってみようかとなりました。

ーー2026年のドラマとして「ヤンキー」というテーマを扱うにあたり、表現のアップデートは意識されましたか? 実際にモデルとなる先生にも取材されたそうですが、その経験も反映されているのでしょうか。

貸川:あくまで現在進行形でヤンキーというよりは、医療ドラマがベースにあって、その中に彼女の過去やキャラクターとしてのヤンキー要素がある、というバランスですね。もちろん、手術シーンなどでのギャップはあると思うんですけど。とはいえ彼女のキャラクターを形作る大きな要素なので、ヤンキーの香りというか雰囲気をどう入れるかはすごく考えました。回想シーンだけではなく、妄想シーンを入れてみたりとか。あとは私服の雰囲気や喋り方をどこまで強くするのか、気合が入っている感じをどう表現するのかとか。そういう細かい部分を一つひとつ調整していった感じですね。

髙木:私たちが平成に観ていた『GTO』(1998年/カンテレ・フジテレビ系)や『ごくせん』(2002年〜2009年/日本テレビ系)みたいな、いわゆるスカッとするヤンキーものに寄せているわけではなくて。例えば第4話、第5話あたりで反発のエネルギーをヤンキーマインドだけで進めるんじゃダメなんだということに彼女自身が気づいていく。逆に仲間を大切にすることや、自分の行動を反省することなどを通して、「大切なものを守りながらどうやって前に進むのか」を学んでいく。そういう部分は、今の時代に合わせて描いているところだと思います。いわゆる昔のヤンキー像をそのまま描くのではなくて、彼女自身の成長、ある意味“ヤンキーの成長物語”として見えるようにチューニングしている部分はあるかもしれないですね。

ーーちなみに、お2人の中で「ヤンキー」という存在の解像度は、元々どれくらいあったのでしょうか?

貸川:もちろん私たち自身がヤンキーだったわけではないので、いろいろ調べました(笑)。例えば特攻服とかも調べてみると、今でも特に地方のヤンキーの方たちがファッション的な意味も含めて特攻服を着て写真を撮ったりしているんです。

髙木:あと、これはどちらかというとヤンキーは“マインド”なんですよね。命と向き合うこととか、仲間を大切に思うこととか、そういう部分が大きいのかなと思います。

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