『おコメの女』最終回で描かれたザッコクの覚悟 “正子”松嶋菜々子たちが貫いた国税の倫理

 木曜ドラマ『おコメの女-国税局資料調査課・雑国室-』(テレビ朝日系)最終回で描かれたのは、ザッコクに突きつけられた解体という現実と、それでも最後まで“仕事を終わらせる”という正子(松嶋菜々子)たちの執念だった。政治案件に踏み込みすぎた代償として組織は終わる。けれど、ここまで来て引き下がる理由はない。終わりが決まっているからこそ、やり切るしかない。最終回は、その覚悟が最初から最後まで貫かれていた。

 正子たちが狙いを定めたのは、宗一郎(千葉雄大)の元秘書から一転、“鷹羽直哉”として政治家の道を歩き始めた直哉(勝村政信)と、さとやま信用組合の理事長・佐古田(井上順)だ。二人が手を組み、錦之助(小野武彦)の代から積み上げてきた隠し財産である埋蔵金を動かそうとしている。糠の匂いを決定的にしたのが、正子のもとに届いた亡き母名義の口座解約通知だった。30年前に他界した母の口座が、いま動くはずがない。だから正子は直感する。これは父・田次(寺尾聰)が、何かを伝えるために投げ込んだ合図なのだと。

 ただ、その合図が何を意味しているのかははっきりしない。裏金に関与してまで成し遂げたいことがあるのか、それとも過去を清算しようとしているのか。父の真意が見えないまま、正子の胸には疑念と痛みが残る。

 一方で、直哉と佐古田は新潟の祭りの喧騒に紛れて埋蔵金を安全な場所へ移す算段を進めていた。ザッコクもまた、信用組合の解約口座を悪用した財産隠しのスキームに気づき、同じ場所に踏み込むしかないと腹をくくる。新潟に乗り込んだ正子が向き合ったのは、やはり田次だった。さとやま信用組合に関わっているのではないかと問い詰める娘に、田次は多くを語らず、「タイミングを見誤るな」「俺は俺の仕事をする」と言い残す。田次は田次なりのやり方で決着をつけようとしていたのだ。

 引き続き、調査を進めるザッコクだが、すでに該当人物の口座から現金は引き落とされていた。額は10億。しかも宗一郎がザッコクに匿われていることが世間に漏れ、マスコミが殺到する騒ぎも起きる事態に。そんな中でも直哉が「さとしん豊穣まつり」に参加するという情報をもとに、正子と耕一(佐野勇斗)は信用組合へ向かう。しかし佐古田の姿はなかった。代わりに作久子(大地真央)が掴んだのは、佐古田がフィリピン人女性と大きなキャリーケースを携えて自宅を出たという目撃情報だった。優香(長濱ねる)も、フィリピンのスイーツのハロハロを売っている店員から、佐古田の行きつけのフィリピンパブのリンダという女性が日本を離れるという情報を入手する。派手な突破ではなく、聞き込みや調査を重ねて少しずつ真相に近づいていく地味さが、ザッコクの強さだ。

 そして、豊作(高橋克実)と優香が法被と書かれた不審な段ボールを積んだ軽トラを見つけ、自転車で追跡するが、これは不発。けれど同じ頃、国外へ逃れようとする佐古田に作久子が接触し、キャリーケースに大量の現金が入っていることを掴む。さらに正子たちは、祭りの神輿が急きょコース変更されていることに違和感を覚える。祭りの熱気に紛れて米俵を運び出す。これ以上ない目くらましだ。そして、その米俵の行き先が鷹羽家につながっていることも見えてくる。ここまで重なれば、もう偶然なんかではない。計算された隠し方であり、用意された逃げ道だ。

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