『おコメの女』に息づくテレ朝“木曜ドラマ”枠のDNA 松嶋菜々子たちの闘いが残したもの

 そして、かつて“ガサ入れの魔女”と恐れられていた飯島作久子(大地真央)に、“人心掌握術”に長けている俵優香(長濱ねる)。東京大学を卒業した財務省のキャリア・笹野耕一(佐野勇斗)も、ザッコクを支える重要な存在だった。彼がいることで、部署の発言力が増しているのは間違いない。古町豊作(高橋克実)は、派手な活躍はしないが、人一倍正義感が強い人物だ。第8話で、妻に「もし、このまま調査を続けたら、最悪無職になるリスクがあるんだ。でも、僕は正しいことをしたい。正しい国税局員として、仕事をまっとうしたい」と宣言した姿を見て、「カッコいい……!」と感動したのはわたしだけではないだろう。

 また、最初はいけすかない雰囲気を漂わせていた鷹羽宗一郎(千葉雄大)も、憎めないキャラになってきた。宗一郎は、賄賂の疑惑を正子の父に押し付けた鷹羽錦之助(小野武彦)の息子だ。彼自身も、これまでさまざまな“ズル”をしてきた。しかし、今では「僕は過ちと向き合う人間になることにした。僕自身はもちろん、この家(=鷹羽家)も過ちがあるなら正すべきだ」と心を入れ替え、正子の心強い協力者になっている。

「ザッコクがどうなろうとも、正しく集めて正しく使う」

 組織の存続すら危ぶまれる状況でも、正子の正義は揺らがない。彼女は、正義とは立場や空気で形を変えるものではないのだと、その背中で示し続けてきてくれた。だからこそ、わたしたち視聴者も、彼女について行きたくなるのだ。

 忖度が蔓延する社会で、「おかしい」を飲み込まない大人たちの物語は、何度も描かれるべきだと思う。ちなみに、『おコメの女』が放送されているのは、『ドクターX~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)や『緊急取調室』(テレビ朝日系)など、数多くの人気シリーズを生み出してきた“木曜ドラマ”枠だ。理不尽に立ち向かう主人公に、個性豊かなチームのメンバーたち。枠のDNAとも言える要素は、本作にもたしかに息づいている。

 不正の手口が変わるたびに、新たな事件が生まれる。まだ描くべき物語は、いくつも残されているはずだ。シリーズ化という形で、ふたたびザッコクの“アベンジャーズ”の闘いを見たいと願うのは、きっとわたしだけではないだろう。

木曜ドラマ『おコメの女-国税局資料調査課・雑国室-』

主人公・米田正子が、なかなか手を出せない“厄介な”事案を扱う複雑国税事案処理室、通称“ザッコク”を創設し、個性派揃いのメンバーとともに事案と向き合っていく。

■放送情報
木曜ドラマ『おコメの女-国税局資料調査課・雑国室-』
テレビ朝日系にて、毎週木曜21:00~21:54放送
出演:松嶋菜々子、佐野勇斗、長濱ねる、千葉雄大、高橋克実、戸次重幸、大地真央、寺尾聰
脚本:『g.O.A .T』
演出:田村直己(テレビ朝日)、楢木野礼、塚本連平
ゼネラルプロデューサー:服部宣之(テレビ朝日)
プロデューサー:浜田壮瑛(テレビ朝日)、木曽貴美子(MMJ)、小路美智子(MMJ)
音楽:村松崇継
制作協力:MMJ
制作著作:テレビ朝日
©テレビ朝日
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