北村有起哉×岡部たかしはなぜNHKに求められる? 大河出演にみる“名バイプレイヤー”の条件

 2027年NHK大河ドラマ『逆賊の幕臣』に、北村有起哉と岡部たかしが出演する。

 北村は主人公・小栗忠順の父・小栗忠高役、岡部は幕末のキーパーソンである井伊直弼役を務める。いずれも物語の流れを左右する準主役級の立場だ。このキャスティングを受けて、筆者は素直に「この2人ならば間違いない」と感じた。物語の重心を任せられる俳優であることを、これまでの出演作がすでに証明しているからだ。北村と岡部といえば、ここ数年、朝ドラや大河で2人の姿を見ないクールのほうが珍しい。もはやNHKドラマの常連と言っていい存在である。

北村有起哉

 北村は2024年度後期の連続テレビ小説『おむすび』でヒロインの父親を演じ、視聴者の支持を集めた。娘を大切に思いながらも、弱さや迷いを表に出しきれない父親像を、抑えた芝居で丁寧に描いている。声を荒げたり感情を大きく見せたりしなくても、視線の動きや呼吸のわずかな乱れで、その人が背負ってきた時間が伝わってくる。北村はこれまでも『義経』『江~姫たちの戦国~』『八重の桜』『西郷どん』など、大河ドラマに継続的に出演してきた。歴史上の人物に血を通わせる力量は、長尺の時代劇において確かな武器になる。

 岡部もまた、NHK作品での実績を重ねてきた俳優だ。『ひよっこ』『なつぞら』『エール』といった朝ドラに参加し、2024年度前期の『虎に翼』ではヒロインの父を演じた。現在放送中の『ばけばけ』でも松野家の父親役として物語の土台を支えている。大河では『龍馬伝』『八重の桜』『真田丸』『西郷どん』に出演し、『青天を衝け』では大蔵喜八郎を演じた。中心に立つタイプのスターではないが、物語の重要な局面に自然と配置される俳優である。

岡部たかし

 こうして起用が続くのは、制作側が安心して任せられる俳優だと見ているからだろう。北村はデビュー間もない頃からNHK作品にコンスタントに出演し、役の大小にかかわらず誠実で丁寧な芝居を積み重ねてきた。父・北村和夫もNHKドラマで活躍した名脇役として知られ、局との縁の深さも背景にある。岡部も近年、朝ドラで父親役を続けて演じ、その安定感からNHK御用達俳優と呼ばれるようになった。本人は演じるうえで「自分がおもろいか、おもろくないか」を大事にしていると語り、ただ優しいだけの人物にせず、人間の複雑さや可笑しみをきちんと残そうとする(※)。その姿勢が現場の信頼につながり、次の作品へと声がかかる理由になっているのだろう。

 同世代には実力派の俳優が数多くいる中で、それでもNHKが2人を選び続けるのは、演技力と安定感に確かな手応えがあるからだ。主役を食わず、それでいて画面に重みを加える。舞台経験に裏打ちされた身体性や台詞の説得力は、半年、1年と続くドラマにおいて大きな強みとなる。

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