『教場』205期生が更新したシリーズの意味 綱啓永、齊藤京子らの“表現者”としての覚醒
木村拓哉が主演を務める『教場』シリーズの最新作にして、初の「劇場版」となる映画『教場 Requiem』がついに公開。この作品との出会いを、木村が演じる主人公・風間公親とその教え子である警察官の卵たちとの再会を、誰もが心待ちにしていたことだろう。『教場』シリーズは、気鋭の若手俳優や中堅の演技者たちがさらにキャリアをステップアップさせる「場」としても機能してきた。ここではそんな「場」で新たに飛躍を遂げた、綱啓永、齊藤京子、金子大地、中村蒼にフォーカスしてみたい。
警察学校を舞台にした『教場』シリーズは、冷酷無比な鬼教官である風間と、彼と対峙する生徒たちの奮闘を描くものである。生徒役には若き実力者たちが選抜され、この者たちが演じる個性豊かな面々の“物語=バックグラウンド”にフォーカスしていく。ここで取り上げる4名が登場したのは、2026年の1月1日に配信がスタートした『教場 Reunion』(Netflix)から。それぞれが「205期生」のメンバーとして、同作と、これに続く『教場 Requiem』の展開を盛り上げている。
綱啓永(門田陽光役)
綱啓永が演じる門田陽光は、写真クラブに所属し、教場での日々を撮影している人物だ。マジメで、仲間思いの好青年。『教場 Reunion』がはじまってすぐに抱いた彼へのこの印象は、最後の最後まで変わることがなかった。観察眼に長けているため、仲間たちの異変にもいち早く気がつく。自身の手にするカメラが、ともに学ぶ者たちの“秘密”を捉えてしまうこともある。そしてこの“秘密”こそが、私たちが目の当たりにする“ドラマ”へと発展していくのだ。「205期生」になくてはならない存在である。
発する声に芯があり、動作も俊敏でメリハリがある。『教場』シリーズに登場を果たした綱もまた、誰もが体得してきた警察官としての基礎を身につけ、『教場 Reunion』のスタートラインに立った。綱は門田というキャラクターを演じる役目を持ちながら、新たな『教場』の世界に私たちを導く役割も担っているといえるだろう。物語冒頭で彼が張り上げる声と一挙一動が、木村を中心とする先輩たちが作り上げてきた『教場』の世界と我々を結ぶのだ。この役割を背負える者は、綱をおいてほかにいないはずである。
齊藤京子(星谷舞美役)
齊藤京子が演じるのは、成績優秀な星谷舞美。ストーカー撲滅を目標に掲げ、警察官を志している生徒だ。いつだって冷静で、周囲の状況を観察している。あまり笑顔を見せることはないが、かといって協調性が欠けているわけでもない。とにかく真剣なのだ。彼女の存在が、「205期生」の印象を引き締めている。
齊藤はとにかく発声が素晴らしい。滑舌が非常に美しいし、ストレートに響く声には力がある。その特徴的な低音ボイスこそが、作品の印象を締まりのあるものにしているともいえるだろう。2026年は初主演映画『恋愛裁判』も公開され、俳優としての彼女が必要とされる機会は今後ますます増えていくはず。主人公の木村伝兵衛部長刑事を女性が演じる『熱海殺人事件 売春捜査官』を、いつか齊藤の主演で観たいものである。