目黒蓮の“声”にはなぜ説得力があるのか 『ほどなく、お別れです』が映し出す“真価”
「ほどなく、お別れです」。目黒蓮演じる葬祭プランナー、漆原礼二が、劇中で何度も口にする言葉だ。別れを突きつける言葉でありながら、悲しみを煽ることなく、遺族の時間をそっと前へ進めていく。目黒が発するこの一言には、不思議なやさしさと覚悟が、同時に宿っているように聞こえる。
2月6日に公開された映画『ほどなく、お別れです』は、就活生・清水美空(浜辺美波)が、インターンとして働き始めた葬儀社「坂東会館」で、葬祭プランナーとしての在り方を学んでいく物語だ。亡くなった人と会話ができるという不思議な力を持つ美空は、先輩社員・漆原のもと、生と死が交差する現場に向き合っていく。
美空をスカウトした漆原は、遺族や故人に対して誰よりも誠実に接する人物だ。葬儀を滞りなく進めることよりも、遺族が前を向くための「別れの儀式」として、納得のいくものにすることを大切にしている。その姿勢は、美空に対しても変わらない。一つひとつの所作や言葉に細かく目を配り、時に厳しく指導する。
仏具の置き方を指摘した場面では、思わず戸惑う美空に、一言。「いきなり完璧にできるわけがない、という顔ですね。しかし、遺族にとっては二度とない大切なお別れの時間なんです」。そして、「完璧に覚えるまでは今日は帰れない」と告げるのだ。その厳しさは、“遺族にとって、故人との別れは、やり直しのきかない時間”だということを理解しているからこその態度なのである。
この漆原のストイックな姿勢は、目黒自身の俳優としての姿勢とも重なって見える。エミー賞を受賞した『SHOGUN 将軍』(ディズニープラス)の続編への出演を勝ち取り、撮影のためカナダへ渡ったニュースは記憶に新しい。約1年とも言われる海外での撮影にあたり、自身が所属するSnow Manとしての活動を一時休止する決断を下した。今、日本で最も求められるアイドルの一人でありながら、その人気に安住することなく、厳しい環境へと身を投じる。その選択からは、底知れない覚悟が透けて見える。
こうした「静かなる覚悟」こそが、目黒の芝居を一貫して支えてきた背骨だ。端正な顔立ちと柔らかな微笑みの奥には、確かな熱量が秘められている。そして、目黒蓮という俳優の大きな魅力もまた、感情を大げさに表に出さずとも、その場に確かな熱を感じさせる点にある。