永瀬廉、『リブート』で漂わせる“違和感”の正体 悪役で見せた俳優としての新境地
ここで、永瀬のキャリアを振り返りたい。映画『弱虫ペダル』で、日本アカデミー賞新人賞を受賞したことをはずみに、映画『法廷遊戯』やドラマ『東京タワー』(テレビ朝日系)など、着実に主演作を重ねている。とりわけ恋愛作品では、揺れ動く繊細な青年像を、持ち前の透明感とリアリティをもって体現してきた。等身大の若者が抱える感情を丁寧にすくい取る表現は、永瀬の持ち味のひとつだと言えるだろう。
一方で、近年の永瀬は、これまでのイメージにとどまらない幅広い役柄に挑戦している。公開中の映画『映画ラストマン -FIRST LOVE-』では、刑事としてアクションに挑んだ。さらに、3月公開予定の主演映画『鬼の花嫁』で演じるのは、“鬼”という人間離れした役どころだ。端正な顔立ちを逆手に取った“鬼”の表現に期待が膨らむが、今の彼は自らの容姿さえも役作りの武器にするような、個性の強い役柄へと着実に表現の幅を広げている。
その変化の延長線上で彼が挑んでいるのが、本作の冬橋航である。役柄の幅を広げてきた現在の永瀬にとっても、冬橋はこれまでで最もダークな領域に位置する役どころだ。これまでのキャリアで得意としてきた“繊細な感情表現”をあえて封印し、視線や表情、身体の反応を徹底的に削ぎ落とす。その結果として浮かび上がったのは、感情がないようにも、何かを秘めているようにも見える冬橋の佇まいだ。その姿は、何か重大な真実を隠しているのではないかという予感を視聴者に抱かせる。
永瀬はインタビューで「冬橋はある目的のために動いているので、裏組織の実行役というのは自分の気持ちを押し殺してやっているところもある」と語っている(※)。その発言を踏まえて見返すと、冬橋の振る舞いがこれまでとはいっそう異なる意味合いを帯びてくる。
第1話は、組織の金を盗んだとして、冬橋が儀堂を殴打するシーンで幕を閉じた。制裁として見れば何ら不自然な行動ではない。しかし、タイミングに注目すると、“儀堂が何かを語ろうとした瞬間”を遮る一撃にも見えなくもない。
もしあの一撃が、単なる命令遂行ではなく「語らせないため」の行動だったとしたらどうだろうか。もちろん、こうした解釈は疑い出したらきりがない。だが本作は、まさにその「疑い続ける視聴体験」そのものを物語の推進力としている。冬橋が何のために動いているのか、その目的は誰の意思に基づくものなのか。永瀬の感情を削ぎ落とした表現が、その疑いにリアリティを与えている。
「永瀬廉=繊細な美青年」という既成概念を自ら“リブート”し、影の中に立つ冬橋航。彼がその拳を下ろした先に、一体どのような素顔が隠されているのか。物語の核心を握るのは、この音もなく佇む実行役なのかもしれない。
参照
※ https://realsound.jp/movie/2026/01/post-2286709.html
妻殺しの濡れ衣で逮捕されたパティシエの早瀬陸は、悪徳刑事・儀堂歩に追い詰められ、真犯人を見つけ出すため、家族と過去を捨てて儀堂の顔に変わり“リブート”を決意する。
■放送情報
日曜劇場『リブート』
TBS系にて、毎週日曜21:00〜21:54放送
出演:鈴木亮平、戸田恵梨香、永瀬廉(King & Prince)、蒔田彩珠、中川大輔、藤澤涼架、与田祐希、上野鈴華、藤田ハル、矢崎滉、野呂佳代、塚地武雅(ドランクドラゴン)、津田篤宏(ダイアン)、伊藤英明、山口紗弥加、池田鉄洋、酒向芳、黒木メイサ、原田美枝子、北村有起哉
脚本:黒岩勉
音楽:大間々昂、木村秀彬
主題歌:Mr.Children「Again」(TOY'S FACTORY)
プロデュース:東仲恵吾
協力プロデュース:國府美和
演出:坪井敏雄、田中健太、元井桃
製作著作:TBS
©TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/REBOOT_tbs/
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