『おコメの女』“笹野”佐野勇斗の悲しい生い立ち “正子”松嶋菜々子の過去に結びつく因縁
笹野耕一(佐野勇斗)は頭の回転が早く、仕事もできる。状況を整理し、最短距離で答えに辿り着くことができる男だ。だからこそ『おコメの女-国税局資料調査課・雑国室-』(テレビ朝日系)第4話で際立っていたのは、家族のことになると、その強みが思うように働かなくなる瞬間があるということ。冷静でいるはずの笹野が、思った以上に脆い面をのぞかせることになる。
発端は、米田正子(松嶋菜々子)が米仲間の宮城真由美(堀内敬子)から聞いたフィッシング詐欺の話だ。会社員に「還付金が戻る」と甘い言葉を投げ、申告のやり方まで指南して所得税の不正還付へ誘導する。真由美自身も虚偽申告の一歩手前まで追い込まれていて、正子がその場で止めたことで事なきを得る。だが正子が気にしたのは、だまされた人が被害者で終わらず、知らないうちに不正に手を染めた側になってしまう危うさだった。聞き取り役として送り出された笹野が驚くのは、その真由美が母だったことだ。正子は最初から知っていて、あえて笹野に向き合わせたのだろう。けれど母は「趣味が副業になっただけ」と言い張り、顔も知らない相手の言葉を信じようとする。
今回は笹野の生い立ちも明らかになった。両親の喧嘩と離婚。家の中の雑音を消すため、彼はいつもヘッドフォンをしていた。感情を遮断し、音を遮り、自分を守る。その習慣が、いまの彼の冷静さの根っこにあるのだとわかる。真由美と「最近会っていなかった」という言葉も、ただの忙しさではなく、積み重ねてきた距離の結果に聞こえてくる。
一方、調査としては見えない敵との戦いが続く。詐欺グループは連絡先も相談料の振込口座も次々に変え、追っても追っても手応えがない。実態は、おそらく闇バイトで集めた実行役に作業を細かく割り振り、顔を見せずに回していく仕組みだった。だから捕まえても末端にしか触れられない。正子が苛立つというより、淡々と嫌な予感を濃くしていくのが彼女らしい。
笹野は端緒を掴むため、母に協力させたおとり作戦を提案する。正子は「許可できません」と止めるが、笹野は飛び出してしまう。俵優香(長濱ねる)が「ムキになっても上手くいかない」と釘を刺すのも、彼が冷静さを失っているのが見えているからだ。正子が中断を選んだのは、捜査の都合ではなく、笹野の危うさを読んだ判断だった。
案の定、笹野は罠にかかる。約束の相手は現れず、背後から迫る車に拉致される。真由美から独断で行動していることを聞いた正子は、嫌な予感のまま動き出す。古町豊作(高橋克実)のもとに届く意味深な動画は、笹野が残した唯一の手がかりだった。