『勇者刑に処す』阿座上洋平×SPYAIR対談 主人公ザイロの解釈からレコーディング秘話まで

阿座上洋平「ザイロと出会って、眠らせているものが刺激される」

阿座上洋平

――ザイロ・フォルバーツという人間像をどう解釈してますか?

YOSUKE:似ているところで言えば、理不尽な仕組みへの不信感とか。“なんでこんな不平等なんだ”とか、社会への苛立ちや葛藤は共通する部分ですかね。逆に全く理解できないのは、暴力が好きじゃないところ(笑)。

MOMIKEN:僕、ザイロの「暴力を振るいたい気分だ」みたいな台詞に、ちょっとニヤつくんですよ。SPYAIRは爽やかな曲、シンガロングする曲、会場で一緒にジャンプする曲とか、みんなでハッピーになる曲も多いんですけど、やっぱどこかでラウドっぽいサウンドも必要で。

――そうですよね。元々、ラップメタルとかニューメタルって言われるKorn(コーン)がルーツにありますもんね。

MOMIKEN:そう、元々がKornなんですよ(笑)。だから「暴力を振るいたい気分だ」って言っているザイロの気持ちがわかる。ライブでも思いっきり暴れたいし、めちゃくちゃに頭振りたいっていう。あの瞬間がないと、ちょっと物足りないと思っちゃうというか。ザイロって、嵌められてそれで怒り狂うわけじゃないですか。あんなひどい嵌められ方したら、誰でも怒ると思うんですよ。

阿座上:ザイロは人に嵌められて、追い込まれてしまった人物。だから元々はすごく根のいい奴だったんだろうな、と。彼は“自分は死にたくない”というシンプルな理由で闘い続けているんですよね。死んでも生き返る設定ではありますけど、死を繰り返すたびに記憶をなくしていく。ザイロにとっては、そういう……自分にとっての尊厳を無くすことが、死よりも恐ろしいことなんですよね。ここは、ちょっと理解できるなと。侍みたいな考えじゃないけど、何のために生きているのかとか考えた時、自分の中にある価値観、哲学的なものは持っていたいと思うし、捨てたくないと思う。ロックバンドを前にして言うのも、あれなんですけど(笑)、僕も割と反骨精神とか反体制とか、奥底にはあるので。だいぶもう……眠らせてますけど。こういう作品、ザイロと出会って表現する時に、眠らせているものが刺激されるんですよ。

――『勇者刑に処す』は、いきなり戦闘シーンから始まりますよね。アニメではよくあるパターンのひとつですが、キャラクターには背負っている物語があって、その物語に感情がついてくると思っているんです。でもそこの説明がないまま、いきなり戦闘シーンから始まる……そういうパターンの時、アフレコでのテンションはどう作っていくんですか?

阿座上:原作を読んでいるので、ザイロの心の持ち方っていうのは、ある程度自分の中に落とし込んで、演じていこうみたいなのはありましたけど、もう最初から戦闘が始まるので、それどころじゃないよっていう……だから最初はちょっとせかせかしている感じというか、緊張感を大事にやりましたね。

――第1話のザイロって、かなり素っ気ないですよね。

阿座上:そうですね。諦めちゃっている感じ。第1話の時点では空っぽの状態ですよね。だから戦闘状態の方にガッといったんですよね。

――歌詞にも「囚われ」「鎖」「時効」など、作品を思わせる言葉が使われてますよね。歌詞全体で意識したテーマは?

MOMIKEN:『勇者刑に処す』という……罪とか罰とかを連想させるタイトルがあったので、大枠として“罪と罰”というのを置いて。そこからSPYAIRが大事にしている、迷っている人の背中を押すようなメッセージ性をどう合わせていくか……どう持っていったらそのゴールに落とし込めるのかをイメージしながら書いていきましたね。書いていることは必ずしもポジティブじゃなくても、聴き終えた時に、前を向ける気持ちになれる、そういう曲にしたかった。その過程で「鎖」とか「時効」とかをちりばめていって、作品に寄り添えるようにというのは、意識しましたね。

YOSUKE「ずっと音楽にしがみついてきた」

――この機会に、お互いに質問してみたいことは?

阿座上:どこで“音楽で生きていこう”と決めたのかを聞きたいですね。僕自身は高校くらいから声優を意識しましたが、それまでは挫折の連続で、最初から声優になりたい、声優になると決めていたわけではなかったから。もちろん決めてからは、自分なりにいろいろ学んだり、努力したりもしたんですけども。SPYAIRのお2人は、どうして音楽をやり始めたのかっていうのを伺いたいですね。

YOSUKE:物心ついた頃から身の回りに音楽があったんです。途中でサッカーにのめりこんだりもしたんですけど、自分が何をしている時が1番笑顔でいられるんだろう、1番生き生きしてるんだろうって考えた時、バンドやってた時だった。1人でこもって曲を作って、ライブハウスで演奏して、お客さんが「あの曲良かったよ」って言ってくれた時の感情とか。本当、音楽がなかったら何をやってたんだろうと思うくらい。僕も紆余曲折あったけど、いつも選択肢が音楽以外になかったから。音楽にしがみついた結果が、今だな、と。きっかけというよりも、ずっと音楽にしがみついてきたんです。

阿座上:「しがみついた」「すがりついた」という言葉が、今、スッと入ってきました。意外でした。

YOSUKE:声を録るアフレコの時って、ラフみたいなものがあるのか、それとも自分の中でイメージで作り出してやっているんですか?

阿座上:色のついたアニメの映像を観ながら、アフレコすることって、ほぼなくて。この作品も、線画やラフ画の状態……もう本当に真っ白な状態の時もあるくらいで。

YOSUKE・MOMIKEN:えー(驚愕)。

阿座上:だから、自分の中で作っていくしかなくて。このくらいの空間だったら、ここに話しかけるなら、この距離感かなとか。そういう空間の実感がないと、作っていけないんですよね。いろんな現場でよくディレクターに怒られたり、先輩から言われ続けて、経験で少しずつ身につけてきたんですよ。台本のト書きには、状況の説明が簡単に書かれてたりもするけど、実際に絵を見たら「誰ですかこれ? どこですかここ?」みたいなことも、結構あるんです。それでもなんとかキャラクターの台詞とト書きをヒントにして、自分に手繰り寄せて演じる。それを共演者の人が拾ってくれて成立する。だからアフレコって(声優が)並んで録ることも多いし、そこに大きな意味もあるんです。ひとりだけ別録りにすると、想定していた空気や空間を共有できないから、芝居の空間がズレてしまうこともある。だから、日本の“アニメのアフレコはみんなで録るべき”という考え方には、すごく共感してますね。

――MOMIKENさん、阿座上さんに聞いてみたいことは?

MOMIKEN:録音した自分の声がポンコツすぎて。

阿座上:はははははは(笑)。

MOMIKEN:マイクにのせる時、もうすこしイケボ力を出したい(一同笑)。普段の喋り方とかで、もう少しこうした方がイケボ感が出るとかあります?

――MOMIKENさんのイケボの定義はなんぞや、ですよ。

MOMIKEN:マイクのりがいいってことですかね。あるYouTuberさんの動画を観ていて、みんなでワイワイやっている中に、声優さんが途中から出てきて。明らかにマイクのノリが違ったんですよ。何が違うのかなと思って。

一同:あぁ~(納得)。

阿座上:僕は元々、声がでかい方だったんです。あとは、声質的にもマイク乗りしやすい。ありがたいことに、意識せずとも「マイクにノリやすい声だね」って言われてきたんですね。一方で、声質的にノリにくい方っていうのも、もちろんいらっしゃって。声に圧が足りないからもっとボイトレに行けとか言われたり。

MOMIKEN:ボイトレ行くと変わるんですか?

阿座上:変わる人は変わりますね。イケボをどう定義するのか、難しいところではあるんですけど(笑)。例えば、枯れたような声でも役と一体化したときに「なんていい声なんだ」と感じる瞬間もある。実感のある声が本当の意味で、いい声なんじゃないかと思うんですよね。

MOMIKEN:俺、転生したら阿座上さんになる!(一同大爆笑)

MOMIKEN「アニメと主題歌のおかげで、世界中でライブができている」

――最後に。アニメと楽曲の相乗効果について伺いたいです。MOMIKENさんはどんな場面で実感します?

MOMIKEN:やっぱり海外に行った時ですね。僕らが海外に呼ばれる時って、アニメ系のイベントが本当に多いんです。その会場で「このアニメをきっかけに日本語の曲を聴くようになりました」と言ってくれるお客さんがたくさんいる。「ああ、アニメと主題歌のおかげで、俺たちは今こうして世界中でライブができているんだな」と、毎回強く実感します。サブスクが当たり前になって、映像も音楽も国境を越えて広がるようになったことで、ジャパニーズカルチャーがさらに届くようになった。その波に乗って、僕らも一緒に羽ばたいていきたいし、アニメを世界中によりポピュラーなものとして広める手助けができればと思っていますね。

■放送情報
TVアニメ『勇者刑に処す 懲罰勇者9004隊刑務記録』
全国28局にて放送中
※一部エリアは放送開始日が異なる
TOKYO MXほかにて、毎週木曜22:30〜放送
関西テレビにて、毎週木曜25:45〜放送
BS日テレにて、毎週木曜25:00〜放送
AT-Xにて、毎週火曜10:30〜/毎週木曜16:30〜リピート放送
Prime Videoにて毎週木曜22:30〜配信
その他サイトにて、毎週日曜 22:30〜配信
※放送・配信日時は予告なく変更になる場合あり
キャスト:阿座上洋平(ザイロ・フォルバーツ役)、飯塚麻結(テオリッタ役)、石上静香(パトーシェ・キヴィア役)、堀江瞬(ドッタ・ルズラス役)、土岐隼一(ベネティム・レオプール役)、上田燿司(ノルガユ・センリッジ役)、松岡禎丞(タツヤ役)、福島潤(ツァーヴ役)、千葉翔也(ジェイス・パーチラクト役)、日笠陽子(ニーリィ役)
原作:ロケット商会(電撃の新文芸/KADOKAWA刊)
原作イラスト:めふぃすと
監督:髙嶋宏之
シリーズ構成・脚本:猪原健太
助監督・クリーチャーデザイン:中小路佳毅
キャラクターデザイン:野田猛
世界観設定:池信孝
プロップデザイン:須川康太
エフェクトデザイン:光田史亮
メインアニメーター:須川康太、式地幸喜、黒崎隼人、平林航、土井田竜健
美術監督:渡辺悠祐
色彩監督:梅崎ひろこ
撮影監督:関谷能弘
3DCG:ENGI 2Dグラフィック:登坂真理菜(画狂)
編集:小口理菜
音響監督:森田祐一
音響制作:株式会社ビッドグルーヴプロモーション
音楽:滝澤俊輔(TRYTONELABO)
アニメーションプロデューサー:増尾将史
アニメーション制作:スタジオKAI
製作:勇者刑に処す製作委員会
主題歌:SPYAIR「Kill the Noise」
©2024 ロケット商会/KADOKAWA/勇者刑に処す製作委員会
公式サイト:https://yushakei-pj.com/
公式X(旧Twitter):https://x.com/yushakei_PJ
公式TikTok:https://www.tiktok.com/@yushakei_pj

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