『ばけばけ』年明けから“メインテーマ”に突入 “若松映画”常連の大西信満も朝ドラに初登場

 『ばけばけ』(NHK総合)第72話では、トキ(髙石あかり)とヘブン(トミー・バストウ)の新居に不意の来客があった。

 結婚して、司之介(岡部たかし)、フミ(池脇千鶴)と同居することになったトキ。新婚生活と新居での生活が同時にスタートしたことで、あわただしい中に気持ちの方も追いつかない様子だ。夫婦の寝室で、想像を膨らませながらイメージトレーニングするトキがほほえましい。

 一家そろっての朝食でも、松野家定番のしじみ汁は引き継がれた。うまそうに汁を飲むヘブンと、「あー」と声を出すトキの姿は、ここが自分たちの家であることを物語っていた。松野家の一員となり、自分のことは自分でやろうとするヘブンも、心機一転、新生活に臨んでいるようだ。

 噂を聞きつけて最初に訪れたのは新聞記者の梶谷(岩崎う大)だった。梶谷は朝餉の席にずかずかと上がり込み、家の中を見て回る。ヘブンに面倒なことはないかと聞くのは、ネガティブなコメントを引き出そうとしているのだろう。日本の暮らしが嫌になって帰国する異人が多いことから、大衆受けするゴシップに仕立てる意図が見えた。

 日本をリスペクトするヘブンに梶谷のやり方は通じず、その結果「正座大好き。魚の小骨取り大好き」という記事が生まれた。来客は続き、梶谷の記事を読んだ松江市民が挨拶に押し寄せる。知事の江藤(佐野史郎)も訪れ、リヨ(北香那)からの引っ越し祝いを手渡した。

 第72話では夫婦になり、一緒に暮らすことで明らかになるカルチャーギャップが描かれていて、ヘブンがトキにするお出かけのキスや、錦織(吉沢亮)が手配した専任の車夫、正座に慣れないヘブンの描写から、ひと騒動ありそうな予感が漂っていた。

 作家のヘブンと彼にインスピレーションを与えるトキの二人三脚は二人の生活と表裏一体で、その意味で言うと、2026年初頭からの『ばけばけ』は今作が描こうとするメインテーマに入ったといえる。淡々と日々の暮らしを描いているようで、そこには密度の高いやり取りや感情の機微があって、無数のドラマが織り込まれている。

 ヘブンにとって、滞在記の完成は、日本で生きることの意味を見つめることになるだろう。そのことはトキとの生活にどんな波紋を広げるだろうか。なお、不器用な車夫・永見剣造を演じるのは大西信満。若松孝二作品など映画を主戦場としてきた俳優で、朝ドラは本作が初出演である。

■放送情報
2025年度後期 NHK連続テレビ小説『ばけばけ』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:髙石あかり、トミー・バストウ、吉沢亮、岡部たかし、池脇千鶴、小日向文世、寛一郎、円井わん、さとうほなみ、佐野史郎、北川景子、シャーロット・ケイト・フォックス
作:ふじきみつ彦
音楽:牛尾憲輔
主題歌:ハンバート ハンバート「笑ったり転んだり」
制作統括:橋爪國臣
プロデューサー:田島彰洋、鈴木航、田中陽児、川野秀昭
演出:村橋直樹、泉並敬眞、松岡一史
写真提供=NHK

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