宇野維正の映画興行分析

『ズートピア2』驚異的スタートダッシュ 早くも正月興行の勝者は決定!?

 12月第2週の動員ランキングは、ディズニーの人気アニメーション作品『ズートピア』の続編、『ズートピア2』がオープニング3日間で動員131万3000人、興収18億9100万円をあげて初登場1位となった。この数字は『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』や『ジュラシック・ワールド/復活の大地』の記録を大きく上回って、今年公開の外国映画でナンバーワンの初動成績。興収76.3億円を記録した2016年4月公開の『スートピア』と比べても2倍以上のペースで数字を積み上げていて、2024年4月公開の『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』以来、外国映画で久々に興収100億円超えが期待できる絶好のスタートをきった。

 コロナ禍以降、かつての勢力を失いつつあったディズニー作品だったが、昨年は『インサイド・ヘッド2』と『モアナと伝説の海2』、そしてMCU作品の『デッドプール&ウルヴァリン』で本国では大復活。それらの作品は日本でも好成績を記録したが、グローバルでのヒットの規模と比較すると、特にアニメーション作品はコロナ禍前と比べて勢いに翳りが見えていた。そう言うと、日本でも『インサイド・ヘッド2』や『モアナと伝説の海2』は前作を超えたじゃないかという指摘もあるかもしれないが、日本での『インサイド・ヘッド2』の最終興収の前作比は約133%。『モアナと伝説の海2』の最終興収はほぼ横並びの微増。対して、グローバルでの『インサイド・ヘッド2』の前作比は約198%、『モアナと伝説の海2』の前作比は約165%という結果だった。

 ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ作品(『モアナと伝説の海』『ズートピア』)とピクサー・アニメーション・スタジオ作品(『インサイド・ヘッド』)の違いはあれど、いずれも約10年前のオリジナル作品の続編。今回の日本での『ズートピア』の目を見張るようなスタートダッシュが、果たして日本でのディズニー作品完全復活を示すものなのか、あるいは『ズートピア』というフランチャイズ特有の日本の観客の好みとの相性の良さなのか、最終的に判断するには来年以降に公開される作品の動きを見る必要があるかもしれないが、おそらくは後者なのではないかと推測する。今年のクリスマスシーズン〜正月興行はライバル作品も少ないこともあり、早くも『ズートピア2』一強の気配が濃厚となってきた。

■公開情報
『ズートピア2』
全国公開中
声の出演:ジニファー・グッドウィン、ジェイソン・ベイトマン、キー・ホイ・クァン、フォーチュン・フィームスター
日本版声優:上戸彩、森川智之、下野紘、江口のりこ、山田涼介、梅沢富美男、三宅健太、Dream Ami、髙嶋政宏、水樹奈々、柄本明、高橋茂雄(サバンナ)、熊元プロレス(紅しょうが)、高木渉、山路和弘、ジャンボたかお(レインボー)
監督:ジャレド・ブッシュ、バイロン・ハワード
プロデューサー:イヴェット・メリノ
オリジナル・サウンドトラック:ウォルト・ディズニー・レコード
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
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