『明日はもっと、いい日になる』が描いた“強くて脆い”家族の絆 信子の言葉が脳裏で重なる
強くて、脆い。矛盾しているようでも成立するのが、家族の絆だ。絆を支えているのは人間であり、誰かが我慢していると、ある日突然限界を迎えて崩れてしまうこともある。『明日はもっと、いい日になる』(フジテレビ系)第9話では、そんな強くて脆い家族の絆を維持するために大切なことが描かれた。
13歳の少女・柊果(畠桜子)が「私を保護してください」と自ら浜瀬市児童相談所にやってくる。柊果は、先天性の疾患で歩行に障害がある姉・菫玲(今野百々菜)を持つ「きょうだい児」だった。
きょうだい児とは、重い病気や障害を持つ兄弟や姉妹がいる子どものこと。ここ数年で急速に広まった言葉で、そこにはエンタメ作品の影響もある。
例えば、2024年10月期に放送された『ライオンの隠れ家』(TBS系)は自閉スペクトラム症の弟のために生きる兄が主人公で、きょうだい児の苦悩や葛藤が色濃く描かれた作品だった。『グッド・ドクター』(フジテレビ系)、『アンメット ある脳外科医の日記』(カンテレ・フジテレビ系)、『放課後カルテ』(日本テレビ系)などの話題作、また今期放送の『19番目のカルテ』(TBS系)の中にも、きょうだい児が登場している。日本には約800万人ほどのきょうだい児が存在するとされているが、一人ひとり置かれている環境や感じ方は違うため、ドラマの題材として上がりやすいのかもしれない。
菫玲は週4で歩行リハビリに通っており、両親が仕事で行けない時は柊果が付き添っていた。つまり、柊果はきょうだい児で、かつ「ヤングケアラー」ということになる。向日葵(生田絵梨花)による心理テストでは、“自制”や“我慢”の兆候が強く出ており、ケアの限界で自分たちに助けを求めてきたと思っていた翼(福原遥)や蔵田(林遣都)。しかし、限界だったのはむしろ菫玲の方だった。
将来的に歩けるようになる可能性が残されていることから、一縷の望みをかけて菫玲にできる限りのリハビリを受けさせていた両親。菫玲はそんな両親の思いに応えようと、厳しいリハビリにも必死に耐えていた。しかし、柊果はその無理に作った笑顔から限界を感じ取っており、少しでも菫玲がリハビリを休めるように、両親から虐待を受けていると嘘をついてまで保護を求めたのだ。