蒼井優が見つけた「何をして生きるのか」への答え 母として“再会”した『アンパンマン』
「何のために生まれて、何をして生きるのか」を問う意味
ーー子どもが楽しめる作品であると同時に、大人ほどチャポンの背景にある設定に衝撃を受けると思います。
蒼井: 私も台本を読んだときビックリしました。アンパンマンの世界でこんなにも重たいテーマが描かれるんだなと。小さいときはなかなかチャポンの境遇を理解することはできないと思うのですが、それでもこの世界にチャポンのような子がいるかもしれないと思うことはとても大事だと思うんです。アンパンマン役の戸田恵子さんにお話いただいたのですが、「アンパンマンのマーチ」は1番の歌詞こそ子供たちには感じてほしい」とやなせたかし先生がおっしゃていたそうなんです。子供のうちからどんなに難しくても、意味がそのときは理解できなくても、言葉を知ることが大事なんだと。大人になるための大切な種を蒔かれていたんだなとあらためて感じました。子供たちにはもちろん楽しんでもらいたいですし、大人の皆さんにも観ていただきたい一作になっています。
――本作に参加したことで蒼井さんの中で変わった思いなどはありましたか?
蒼井: 思いやりを恐れずにできるようになりたいと思いました。チャポンがやってきたとき、ジャムおじさんやアンパンマンは当たり前のように受け入れます。子供や困っている人がいたときに、「大丈夫ですか?」と声をかけることができればいいのですが、「迷惑と思われたら」「裏切られたら」「逆に危害を加えられたら」……といろんな理由が思い浮かんで行動に移せない人は多いと思うんです。もちろん、そういった警戒が必要なときもあると思います。でも、やっぱり相手を信じることから生まれるものがあると思うので、みんなが助け合うことができる社会になるといいなと感じました。
――最後に「アンパンマンのマーチ」の歌詞にもあり、本作のテーマでもある「何のために生まれて、何をして生きるのか」という問いかけについて、蒼井さん自身はどのようにお考えですか?
蒼井: 「幸せになるため」と答えるのですが、「意味なんかなくてもいい」とも思っています。ただ生きていればいい。それだけでうれしい人がどこかにいるから。今はそんな人なんかいないと思う人も、絶対にどこかで現れるはずだから。意味が見つかったり、消えたりしてもいいんじゃないかと。子どもが生まれて、「生きている」ことだけが誰かを幸せにすることを実感しました。「何のために生まれて、何をして生きるのか」と自分に問うことで力になることもあるので、それは本当に素晴らしいことだと思います。「ただ幸せになるために生きていればいい」と今は考えています。
■公開情報
『それいけ! アンパンマン チャポンのヒーロー!』
全国公開中
配給:東京テアトル
©やなせたかし/フレーベル館・TMS・NTV©やなせたかし/アンパンマン製作委員会2025
公式X(旧Twitter):@anpanman_movie
公式サイト:anpan-movie.com/2025/