白濱亜嵐、『奪い愛、真夏』で“狂気の芝居”を披露 俳優としての可能性を示す転機に

 白濱にとって、この役柄はキャリアの中でも大きな挑戦となっている。これまでの彼は『泣くな研修医』(テレビ朝日系)で純朴な研修医を演じ、患者に寄り添いながらも不器用に奮闘する姿を等身大のリアリティで示した。『真夏のシンデレラ』(フジテレビ系)では、主人公を支える爽やかな親友役として登場し、明るさや温かさを前面に押し出しながら、観る者に安心感をもたらしている。さらに、映画『ひるなかの流星』では、不器用ながらも真っ直ぐに恋心を抱くツンデレ男子を体現し、そのピュアさと誠実さで多くの観客を惹きつけた。こうした役柄の積み重ねによって、「人を信じられる男」「健全で優しい青年」といったイメージが醸成され、白濱のパブリックイメージを固める基盤になっている。

 だが今回の元也は、その積み上げられたイメージを真逆から突き崩す存在だ。これまで“好青年”として信頼されてきた表情や仕草をそのまま武器にしながら、裏に潜む執着や狂気を覗かせる。観客が「絶対に裏切らないだろう」と信じて疑わなかった“いい奴”の顔を利用し、その瞬間に一気に裏切りへと転じる。その落差はあまりにも強烈だった。

 こうした役柄は、白濱のキャリアの中でもほとんど例を見ない。従来の作品で培った誠実さや親しみやすさを逆手に取り、それを狂気の表現へと転化させることで、観客の想像を裏切りつつ説得力を持たせる。俳優として積み重ねてきた「信頼できる青年」という軌跡を、今回は自ら壊す選択をしたとも言えるだろう。まさに新境地と言うべき挑戦であり、今後の彼の俳優人生においても大きな転換点となる役柄である。

 特に印象的なのは、白濱の表情や声色が一気に冷たさを帯びる瞬間だ。真夏への優しさが一転、支配欲に変わる場面では、彼自身が持つ誠実な雰囲気までもが狂気を増幅させる。観客は“信じていた分だけ裏切られる”という感覚に陥り、その演技の説得力に圧倒されるのだ。こうしたギャップを体現できるのは、これまで積み上げてきた好青年像があってこそであり、その意味で元也は白濱にしか演じられない役柄となっている。

 シリーズを彩るのは、常に予測不能な人間模様である。今回も、タイムリープによる再選択が希望ではなく破滅を呼び込む展開となり、真夏の物語をさらに深みへと誘っている。元也はその象徴であり、彼の存在が真夏の人生を大きく狂わせていく。物語の愛の狂気を体現するキャラクターとして、彼の動向は今後も視聴者の最大の関心事であり続けるだろう。

  本作は、白濱のキャリアにおける大きなターニングポイントとなる。従来のイメージを逆手に取り、光と闇、純粋さと狂気を併せ持つ複雑な役柄を演じ切ったことで、彼は確実に次のステージへと進もうとしている。『奪い愛、真夏』は愛憎劇の極致であると同時に、白濱亜嵐という俳優の新境地を告げる物語でもある。視聴者は“ヤバ男”の行方に怯えながら、その背後にある俳優としての進化に期待せずにはいられない。

金曜ナイトドラマ『奪い愛、真夏』

さまざまな登場人物たちが愛を奪い合う“激しくも切ないドロキュン恋愛ドラマ”『奪い愛』シリーズの最新作。結婚までも約束した最愛の恋人と不倫の末に別れた主人公の恋模様を描く。

■放送情報
金曜ナイトドラマ『奪い愛、真夏』
テレビ朝日系にて、毎週金曜23:15~24:15放送
出演:松本まりか、安田顕、高橋メアリージュン、森香澄、白濱亜嵐、石井正則、石山順征、谷原七音、水野美紀
脚本:鈴木おさむ
演出:樹下直美、上田迅
ゼネラルプロデューサー:横地郁英(テレビ朝日)
プロデューサー:川島誠史(テレビ朝日)、神通勉(MMJ)、小路美智子(MMJ)
音楽:沢田完
主題歌:安田レイ「BROKEN GLASS」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
制作:テレビ朝日、MMJ
©テレビ朝日
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