松本潤が考える“日曜日のドラマ”だからこそ届けたい思い 座長として大事にする“対話”も
数々の作品で鮮烈な印象を残してきた松本潤が、TBS系日曜劇場『19番目のカルテ』で自身初となる医師役に挑んでいる。演じるのは、「総合診療医」の徳重晃。「問診」により患者と向き合い、徹底的に患者の話を聞き、時には患者の話に隠された嘘を見抜き、対話する徳重役は、松本の芝居にどのような変化をもたらしたのか。役との出会いから、共演者との化学反応、そして座長として現場に臨む姿勢まで、作品の核となる「対話」をテーマに、松本自身のコミュニケーション論にも迫った。
徳重のリズムが自分の身体にも馴染んできた
――今回、初の医師役、それも「総合診療医」という専門的な役柄ですが、役作りはどのように進められましたか?
松本潤(以下、松本): 恥ずかしながら、今回のお話をいただくまで「総合診療」というものを知らなかったんです。そこで、原作にも描かれている総合診療とは実際にどういう世界なのかを知るために、本作で医療監修をしてくださっている生坂(政臣)先生に直接お話を伺う時間をいただきました。先生に総合診療の基本的なことから、普段どのように患者さんと向き合っているのか、ドラマに活かせることは何か、といったことまで、じっくりと取材させていただきました。このディスカッションの時間が、役を作る上で最も役立っています。
――生坂先生のお話で、特に印象に残っていることはありますか?
松本:「総合診療は問診がポイント」というお話です。現代は検査技術が進歩していて、検査をすれば多くのことが分かると思いがちですが、先生は問診こそが病気の診断を決める上で最も重要だとおっしゃっていました。じっくり患者さんから話を聞き、可能性を一つひとつ精査していくことで診断に辿り着く、というアプローチが非常に印象的でした。
――「問診」を表現する上で、セリフの言い方などで意識したことはありますか?
松本:ドラマの撮影は、どうしても日常会話よりテンポを速く話す癖が染み付いているんです。でも、徳重という役はそうじゃない。なので、僕自身のせっかちな部分をおさえて、なるべくゆっくり話すことを、最初の頃はかなり意識しました。ただ、撮影が進むにつれて徳重のリズムが自分の身体にも馴染んできたので、最近はそこまで意識しすぎず、自然にお芝居ができているかなと思います。
――共演者の皆さんも個性的な方ばかりです。小芝風花さん、新田真剣佑さん、木村佳乃さん、田中泯さんと実際にお芝居をされてみて、いかがでしたか?
松本:それぞれが演じるキャラクターが本当に個性的でバラバラなのが、本作の魅力的なところ。キャラクターとして対峙すると、まさしく「粒ぞろい」という感じで、全く違う人たちが集まっている面白さがありますね。僕は新しく病院に来た設定なこともあり、まだ密にコミュニケーションを取れていない部分もあって。これから話が進む中で、このメンバーとどう連携が取れていくのか、すごく楽しみにしています。
――具体的に、それぞれの方の印象を伺えますか? まずは小芝風花さんから。
松本: 小芝さん演じる滝野は、柔道をやっていたというキャラクター設定もあり、ご本人もおっしゃっていましたが、体幹がブレない姿勢を常にキープしようとしていて、それが伝わるお芝居をされているなと感じました。あと、以前テレビ番組(『王様のブランチ』)でも言ったんですけど、白目がすごく綺麗。なかなかあんなに綺麗な白目の方はいらっしゃらないんじゃないかな。
――新田真剣佑さんはいかがですか?
松本:(新田)真剣佑は、役柄とのギャップがすごいですね。普段はすごくフレンドリーに接してくれるんですけど、役では考え方が真逆で対立する関係性なんです。だから、二人で話していると妙な間が生まれることが多くて。その、見つめ合っている時間が印象的です。「綺麗な顔してるな」と思いながら見ています(笑)。
――木村佳乃さんと田中泯さんは?
松本:(木村)佳乃さんは、普段がものすごく明るい方なので、一番役柄とギャップがあるかもしれません。本番になって役に入った瞬間に、声のトーンからボリュームまで一瞬で変わる。笑顔を絶やさない普段の姿から、スイッチが入る瞬間は「さすがだな」と思います。(田中)泯さんは、本当にすごいです。もともとダンサー、アーティストとして心から尊敬しているので、どういうアプローチでお芝居をされるのか興味津々で、現場でもよく観察させていただいています。「考える」というより「五感で感じて、それを体現する」という感覚が鋭い方なので、どの瞬間に何を感じてそう動いていらっしゃるのかなと観察するのが楽しいです。