ユン・ゲサンの熱いメッセージが胸を打つ 『TRY』に感じるスポーツドラマ“王道”の味わい
スポーツと青春を描いた作品の醍醐味である、弱いチーム、訳あり監督、嫌味な教頭とその腰ぎんちゃくの教師たち、そして、敵対関係にある教師や部員たち……と、良い材料はバッチリと揃っている。
しかし、監督であるガラムは、病気のため服薬した結果、ドーピングと判定されたという事情を抱えているが、そのことはまだ明かされない。さらにキャプテンのソンジュンには、一卵性双生児の弟・ソクジュンがいるが、サッカー選手として海外で活躍するソクジュンに対し、劣等感を抱いている。部員たちも個性あふれる面々で、怒りを抑えられないヒョンシク(ユン・ジェチャン)や、身体は大きいが心の優しいジュヤン(ファン・ソンビン)、1年生だが有望株のテプン(チョ・ハンギョル)に食べることが大好きなソノ(ウ・ミンギュ)。観続けていたらと愛おしくなりそうなキャラクターたちで構成されている。
第1話、第2話では、彼らの背景や事情が説明されていく中で、スター選手から転落していったガラムが、部員たちと共に再び頂点へ駆け上がっていくことを期待させる展開となった。なかでも、強豪である大常高校ラグビー部との試合では、元監督ミンジュン(ソン・ヨンギュ)からバカにされながらも、ガラムの作戦と、彼の言葉に奮起する部員たちの姿に胸を打たれた。
「ラグビーボールの軌道は読めない。だからラグビーの得点は“ゴール”ではなく、“トライ”、ボールを掴もうとする数えきれない試みと、挑戦に対する称賛だ」
「ゆえにラグビーで重要なのは、結果ではなく、挑戦と努力のプロセスだ。常に立ちはだかる障害物(ディフェンス)と襲いかかるタックルに屈しない過程だ」
人生そのものにも通じており、作品の熱いメッセージ性を感じる台詞だ。人生も先は読めないし、未来は不透明なものだ。だからこそ目には見えない、数えきれない試みと挑戦と、そのプロセスこそが大事なのだと。私たちが産声を上げた日から、いつか人生から卒業する日まで、その“全ての過程が称賛されるに値するのだ”とガラムは私たちに、エールを送っている。
ガラムと、部員たちが繰り広げるであろう優勝への道を見守るとともに、ガラムの愛憎交じった再会とロマンスも大いに気になるところだ。3年前にガラムが突然姿を消したことで、恋人ペ・イジ(イム・セミ)は、別れも告げられないまま怒りを抱えていた。しかし、イジも漢陽体育高校で射撃部のコーチをしていることから、再会を果たした2人。イジから別れを告げられてしまうガラムだが、3年も音沙汰がなかったとなれば当然だ。しかし、隠された事情が明るみになるとともに、イジの氷も溶けていくのだろうと思いたい。まだチラリとしか出ていないクォン・ユルとの関係も、敵なのか味方なのかも気になるところ。手に汗握る展開と、爽快感が味わえる、暑い夏に相応しい本作で、次回もガラムからどんな名台詞が聞けるのかを楽しみにしている。
■配信情報
『TRY~僕たちは奇跡になる~』
Netflixにて独占配信中
出演:ユン・ゲサン、キム・ヨハン、イム・セミほか
演出:チャン・ヨンソク
脚本:イム・ジナ
(写真はSBS公式サイトより)