『あのクズ』悟の思いを知った海里が出した答え 弱々しく歩く玉森裕太の背中が切なすぎる
「海里、目を逸らさないでくれ。お前の人生は誰かのための人生じゃない。お前の行く場所も帰る場所もお前の自由でいいんだよ。お前は自分の人生を生きてくれたらいい」「たとえ自分自身のことや誰かのことを許せなくても、それでも進まなくちゃならないんだ」
この会長(渡部篤郎)の言葉にすべてが集約されていた『あのクズを殴ってやりたいんだ』(TBS系)第9話。
体格差のある選手とのスパーリング練習でKOを食らって意識不明の状態に陥っていたほこ美(奈緒)が無事生還。さらに海里(玉森裕太)のスポーツフォトアワードの新人賞受賞が決まるも、またしても天国と地獄は一気にやって来る。
同居人の悟(倉悠貴)が大地(大東駿介)の弟であることが明かされ、彼から大切な存在を奪ってしまう取り返しのつかないことをした過去を、改めて突きつけられる海里。何より悟と大地の関係にも気づかず知らないところで彼を傷つけてしまっていた自分に、海里はほとほと愛想を尽かせたのだろう。自分が陽の当たる場所で前向きに生きようとするだけで誰かを傷つけてしまうこと、またそんな過去のせいで、自分ではなく大切に想う存在が何の罪もないのに危険に晒されてしまうことに、改めて打ちひしがれる。
「勝手に許されたような気になって、夢を語ってあんただけ人生楽しくやり直すなんて、そんなのおかしいだろ」「なんで兄貴なんだよ(中略)あんたがいなくなればよかったんだ」という悟からの面と向かっての言葉に心えぐられる。
そう話しながら、悟も全く気が晴れるどころか、より苦しみを募らせていそうな様子に、大地と悟兄弟と海里の不思議な因縁を思わずにはいられない。撫(玉井詩織)が悟に言ったように、本物の兄弟かに見える海里と悟。最初は後悔し“自分で自分を傷つけるようなことばっかして”、虚無に生きる海里の荒んだ生活を隣で見ていることが悟にとっては復讐で、兄を失った寂しさを紛らわせる唯一の方法だったのかもしれない。