遠藤憲一×あのがウエディングドレス姿に 『民王R』が伝えた“夢を持つこと”の素晴らしさ

 この世代も、その場にいるのが泰山ということで性別も超えた“秘密の女子会”に、女性が歩んできた歴史が見えた気がした。トメはしみじみと「いい時代になったよね」と呟いた。女性でもバリバリ働けるし、お酒を飲んでも何も言われないというのだ。でも、今を必死に生きる冴島は「そんなにいい時代でもない」と言う。セクハラはあるし、本音を隠して生きてるのだと。そこでトメから「優佳ちゃんも本音を隠しているの?」と聞かれ、酔った勢いもあり冴島は大きな夢をぽろりとこぼした。

 それに対し、トメは「すごいことじゃない」と褒めた。それは“なれたらすごいことよ”という意味ではない。トメは冴島を慈しむような目で見つめながら「私なんて家事と育児だけで『夢を持つ』っていう発想すらなかったもの」と優しく語りかけた。時代は変わり、変化していく。どうしても自らを取り巻く環境の変化を気にしてしまうが、その時代に暮らす人々の心持ちも大きく変わっているのだ。冴島もどこかハッとするような表情を見せていた。

 一方で、忘れてしまうが変わらないものもある。トメは冴島と訪ねた青森の思い出の喫茶店で、マスターから“あること”を聞かされたことをきっかけに、夫・進(伊武雅刀)に会いに行くことに。思い出して欲しいのは、現在のトメの体は、総理大臣の泰山であるということ。だが、進は泰山の姿を見ただけで、中身がトメであることを見抜いたのだ。それまで、自分の人生は、進の奴隷のようだったと感じていたトメ。でも、ふたりの中にある愛情は、形が変わってもそのままだったのである。

 今回もなんとか“テロ”を乗り越えた泰山たち。泰山がトメとして過ごし、そして冴島が中身がトメの泰山と過ごした数日は、「終末期医療費控除案」に反映されそうだ。その一方で、公安部の新田(山内圭哉)は、これまでの“入れ替わり先”にある共通点を見つける。いよいよこの“テロ”の黒幕に近づく時がきたのかもしれない。

■放送情報
『民王R』
テレビ朝日系にて、毎週火曜21:00〜21:54放送
出演:遠藤憲一、大橋和也(なにわ男子)、あの、山時聡真、金田明夫、山内圭哉
ナレーション:菅田将暉
Inspired by 池井戸潤『民王』(文春文庫・角川文庫)
脚本:加藤陽一、後藤賢人ほか
監督:草野翔吾、山本大輔、佐藤恵梨子
音楽:井筒昭雄
エグゼクティブプロデューサー:三輪祐見子(テレビ朝日)
プロデューサー:飯田サヤカ(テレビ朝日)、田中真由子(テレビ朝日)、菊池誠(アズバーズ)、岡美鶴(アズバーズ)
制作協力:アズバーズ
制作:テレビ朝日
©︎テレビ朝日

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