『おむすび』聖人&陽太、不器用な男たちの“不憫さ” 結と“付き合ってる宣言”も飛び出す

 1999年にリリースされ、若者の間で大ヒットした浜崎あゆみの「Boys & Girls」がお茶の間に流れた『おむすび』(NHK総合)第11話。博多ギャル連合、通称“ハギャレン”のメンバーが歌う〈輝きだした僕達を誰が止めることなど出来るだろう〉というフレーズは、「ギャルの歴史を本にする」「ネイリスト」「ダンサー」「何でもいいから社長になる」と輝かしい未来に向かって突き進む彼女たちを激励していた。

 一方、結(橋本環奈)にはまだ、「これ!」と言えるような夢はない。強いて言うなら実家の農家を継ぐことだが、心からやりたいというよりは、そうすれば家族が安心するという思いが強いのだろう。好き放題だった姉の歩(仲里依紗)とは違い、家族に心配や迷惑をかけないように生きてきた結は自分軸がはっきりしていないのだ。そんな結の心に、“タマッチ”こと珠子(谷藤海咲)の「あんたの未来、それでいいと?」という言葉が刺さる。

 先週、初めて自分の意志でハギャレンのメンバーと一緒に糸島フェスでパラパラダンスを踊ることを決めた結。第3週はより結が「自分はどうしたいか?」にフォーカスしていく週となりそうだ。

 その中で一つ選択を迫られそうなのが、住む場所。結が土日に博多へ赴き、タマッチのスパルタ指導を受けながらパラパラの練習に励んでいた頃、父の聖人(北村有起哉)は同業者で幼なじみの井出(須田邦裕)から糸島フェスの手伝いを頼まれる。この頃、不景気で農作物が売れないことに加え、後継者不足で糸島では続々と離農する農家が増えていた。そんな状況を憂う井出は「俺らの世代が糸島ば盛り上げていかんと」と息巻いているが、素直には乗れない聖人。なぜなら聖人はいつか以前住んでいた神戸に戻って、再び理容師の仕事がしたいと考えているからだ。

 けれど、そこに家族の意志はなく、妻の愛子(麻生久美子)は「結とちゃんと話すべきだと思う」と忠告する。結を心配するあまり過干渉気味になっている聖人を叱るなど、自分の気持ちだけで突っ走りがちな夫のストッパー役となっている愛子。悩める年頃の結にとっては、付かず離れずの距離で見守ってくれる頼もしい存在だ。一方で聖人も決してダメな父親なんかではなく、知らず知らずのうちに結を傷つけてしまったことを反省して今はなるべく傍観に徹していて、不器用な優しさがひしひしと伝わってくる。

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