パレスチナ人とイスラエル人の若手監督が手がけたドキュメンタリー映画『NO OTHER LAND（原題）』が、2025年2月21日よりTOHOシネマズ シャンテ、シネ・リーブル池袋ほかにて公開されることが決定した。

　本作は、この現状をカメラに収め世界に発信することで占領を停止させ、故郷の村を守ろうとするパレスチナ人青年バゼル・エイドラと、彼に協力しようとその地にやってきたイスラエル人青年ユーバール・アブラハムによる決死の活動を、2023年10月までの4年間に渡り記録したドキュメンタリー。

　監督は、彼ら自身を含むパレスチナ人2人・イスラエル人2人による若き映像作家兼活動家たち4人が共同で務めた。「イスラエル人とパレスチナ人が、抑圧する側とされる側ではなく、本当の平等の中で生きる道を問いかけたい」という彼らの強い意志のもと、危険を顧みず製作された。スマートフォンや手持ちカメラを使用した、そこで暮らす当事者だからこそ捉えることのできた至近距離からの緊迫感みなぎる映像で、マサーフェル・ヤッタの住民たちが家や小学校、ライフラインを目の前で破壊され強制的に追放されていく、あまりに不条理な占領行為をあぶりだしていく。

　本作が映し出すはその惨状だけではない。エイドラとアブラハムという同じ年齢の青年2人が、パレスチナ人とイスラエル人という立場を越えて対話を重ね理解し合うことで生まれる友情と、ただ故郷の自由を願い強大な力に立ち向かい続ける人々の姿だ。パレスチナ問題、ひいては我々の生きる社会全体を覆う“どうしたら人は分かり合えるのか？”という問いを突きつける。

　あわせて公開された場面写真は、マサーフェル・ヤッタの穏やかな丘陵地を背景に、エイドラとアブラハムが目をそらすことなくお互いをまっすぐ見る、印象的な様子が切り取られている。2024年2月に開催された第74回ベルリン国際映画祭では最優秀ドキュメンタリー賞と観客賞をＷ受賞し、エイドラとアブラハムが揃って登壇し連帯を呼びかけた受賞スピーチは同映画祭のハイライトとして大きな話題を集めた。しかし、イスラエル擁護の姿勢を取るベルリン市長やドイツ文化省による本受賞への批判コメントが発表され、多数の大手メディアで意見対立が勃発した。

■公開情報
『NO OTHER LAND』
2025年2月21日（金）より、TOHOシネマズ シャンテ、シネ・リーブル池袋ほかにて公開
監督：バゼル・エイドラ、ユーバール・アブラハム、ハムダーン・バラール、ラケル・ゾール
配給：トランスフォーマー
2024年／ノルウェー、パレスチナ／アラビア語、ヘブライ語、英語／5.1ch／95分／原題：No Other Land／日本語字幕：額賀深雪
©2024 ANTIPODE FILMS. YABAYAY MEDIA
公式サイト：https://transformer.co.jp/m/nootherland/
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