ホームドラマチャンネルの特別番組「『大都会 PARTII』放送直前！ハードアクションSP特番」の中で『大都会』をずっと撮り続けていた村川透監督が「渡さんも優作に乗せられてアドリブっぽい台詞を返していた。役者って凄い」と、当時は硬派な芝居で知られていた渡哲也が、優作との化学変化で柔軟な演技を見せたことを誉めている。第34話「野獣を撃て」はシリアスで暗い話ながらも、事件解決後に「クロさん、あそこ行きませんか……あそこ」と徳吉から話しかけられた黒岩こと渡哲也が、演技抜きで笑いをこらえているラストが愉快だ。優作、あそこってどこなんだよ!?

　ホームドラマチャンネルの特番に出演した『大都会』レギュラー俳優の小野武彦が、「石原プロの小林正彦専務が、倉本さんの書く純文学的な世界より、もっと大衆文学化して行きたい考えがあったのではないか。視聴率の問題も含め、これから自社で制作して行く方向性を考えて『PARTII』のアクション主体の世界に傾斜したと思う。だから優作を呼んだんだ」とインタビューで話している。『大都会』シリーズの1作目から3作目までの作風の変化、そして『西部警察』でさらにカークラッシュと建物の爆破が大きくなっていくことを見れば、石原プロの刑事ドラマへの取り組み方と視点の変化がよく分かろうというもの。『大都会 PARTII』は、まさにその大きな転換にあたるドラマだけに、多彩なゲストと渡哲也、松田優作の頼もしいコンビぶりを含め、見どころ豊富な作品なのだ。

参照
※ 岡田晋吉著『青春ドラマ夢日記 あるプロデューサーのテレビ青春日記』（日本テレビ刊）より

■放送情報
『「大都会 PARTⅡ」放送直前！ハードアクションSP特番』
ホームドラマチャンネルにて、9月26日（木）20:00～放送
ひかりTVひかチャン（101ch）にて、9月16日（月）～9月28日（土）19:00～放送
※9月25日（水）は放送なし

『大都会 PARTII』
ホームドラマチャンネルにて、9月28日（土）18:00〜放送
監督：舛田利雄、村川透、澤田幸弘、長谷川安春、山崎大助、ほか
脚本：永原秀一、佐治乾、斎藤憐、石松愛弘、ほか
出演：石原裕次郎、渡哲也、松田優作、仁科明子、高品格、小野武彦、峰竜太、粟津號、神田正輝、苅谷俊介、小池朝雄、小山田宗徳、滝田裕介、丘みつ子ほか
1977年／全52話
©石原音楽出版社
詳細はこちら：https://www.homedrama-ch.com/special/ishiharapro