土居志央梨、『虎に翼』は「思い出すたびに勇気をもらえる作品」 “運命の役”よねを演じて

第105話の仲間との再会は「ここまでよく生きてきたね」

――第20週では、よねがついに弁護士資格を取得しました。

土居:台本を読んだときにももちろん嬉しかったんですが、一番グッときたのは新たな衣装合わせのときでした。スーツに弁護士バッジをつけてもらったときに、もう本当に泣きそうになるくらい嬉しくて。よねと感情がリンクして、「夢が叶うってこんな気持ちになるんだな」と思いました。

――法律事務所の名称も「山田轟法律事務所」に変わりました。

土居:やっぱり感慨深かったですし、「山田轟法律事務所」という名前を決めるシーンでは本気でじゃんけんをしました(笑)。(戸塚)純貴くんばかり勝っちゃって、たぶん7回戦くらいしたと思います。2人で超白熱したので、ぜひ観てほしいです(笑)。

――そんなよねと轟の関係についてもお聞きしたいです。

土居:本当に相棒ですよね。轟の前では、よねもちょっとカッコ悪いところを見せられる。寅ちゃんにもそういうところを見せないように振る舞っているはずなので、それができるのは轟に対してだけなんじゃないかなと思います。

――よねに轟という存在がいてよかったですよね。

土居:本当にそう思います。戦後に再会して、よねから「一緒に事務所やろう」と誘っていますけど、きっとよねも轟に救われたんだろうなと思っています。

――戸塚さんとの撮影裏では、土居さんがゲラだと伺いました。

土居:あははは(笑)。純貴くんは、リハーサルのときから一切様子を見ずに100%でやるんですよ。その思い切りの良さに、「すごーい!」と笑顔になっちゃう感じです。かと思えば、カッコいいシーンで食べていた米粒を飛ばしてきたり、ちょこちょこ抜けてるところもあって(笑)。すごく和ませてくれますね。

――第21週では、寅子と航一(岡田将生)の結婚をみんなで祝うシーンがありました。みなさんが揃うのは久しぶりだったと思いますが、どんなお気持ちでしたか?

土居:女子部の先輩だったり、みんな揃っての撮影は本当に久しぶりだったので、ただただ懐かしくて、嬉しくて、その状況を楽しみながら演じました。そんなときでも台本には<みんなで乾杯をする(よねはしない)>と書いてあって、「乾杯できないのか!」と思いつつ(笑)。本音ではウワ~ッと盛り上がりたかったけど、頑張って抑えながら、とにかくみんなとの時間を楽しみましたね。学生時代から始まったみんなの物語が一旦、このシーンでまとまるので、「ここまでよく生きてきたね」とそれぞれの人生をお互いにねぎらうシーンでもあったと思います。

――土居さんご自身も、次に向けての再スタートのような感覚に?

土居:本当にそうですね。みんなが一生懸命に生きてきたことを感じて、「私も頑張ろう!」とすごく思いました。

――この作品を通じて、土居さんの顔と名前をしっかりと覚えた視聴者がたくさんいると思います。俳優として、自信につながる部分もありますか?

土居:たくさんのメッセージやファンレターをいただいて、本当にありがたいし嬉しいです。でも、「よっしゃ!」というよりは、ますますちゃんとお芝居と向き合わなければいけないなと、身が引き締まる思いですね。

――まだ撮影は続いていますが、よね、そして『虎に翼』という作品は、土居さんにとってどんな存在になりそうですか?

土居:私のキャリアにおいて、ひとつの転換ともいえるすごく大きな作品ですし、今後の人生において思い出すたびに勇気をもらえる作品だと思っています。仕事をしていく上でいつも心の中によねを住まわせておいて(笑)、弱気になったときにはよねの力を借りて、『虎に翼』を思い出せば、この先も頑張っていけるんじゃないかなと。人生において、このタイミングでこの作品に出会えて本当によかったと思っています。

――「このタイミング」というのは?

土居:20代の頃は「一生懸命頑張りたいのに、どうすればいいかわからない」という状況に陥ったり、猪突猛進で視野が狭くなってしまったりしていたんです。でも、30代では少しだけ余裕が持てるようになって、いろんなことに興味が湧くようになってきました。そのタイミングでこの作品のお話をいただけたからこそ、すごく現場を楽しめているのかなと思います。きっと20代だったら、のめり込みすぎてよねのことを俯瞰して演じられなかった気がするので、そういう意味でもすごく縁を感じています。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『虎に翼』
総合:毎週月曜〜金曜8:00〜8:15、(再放送)毎週月曜〜金曜12:45〜13:00
BSプレミアム:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜8:15〜9:30
BS4K:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜10:15~11:30
出演:伊藤沙莉、岡田将生、森田望智、土居志央梨、桜井ユキ、平岩紙、ハ・ヨンス、戸塚純貴、小林涼子、安藤輪子、塚地武雅、趙珉和、三山凌輝、毎田暖乃、和田正人、井上拓哉、青山凌大、今井悠貴、井上祐貴、尾碕真花、羽瀬川なぎ、川島潤哉、菊池和澄、余貴美子
作:吉田恵里香
語り:尾野真千子
音楽:森優太
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博
制作統括:尾崎裕和
プロデューサー:石澤かおる
取材:清永聡
演出:梛川善郎、安藤大佑、橋本万葉ほか
写真提供=NHK

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