『降り積もれ孤独な死よ』怪しい人間が多すぎる! 佐藤大樹の笑顔に隠された秘密

 『降り積もれ孤独な死よ』(読売テレビ・日本テレビ系)第5話は、謎がさらに混沌とした様相を呈する、視聴者を深い霧の奥に引き込むエピソードだった。

 顔に傷のある男に襲われた花音(吉川愛)は、病院に搬送されるも一命をとりとめた。灰川邸事件の捜査が再開され、捜査本部に呼び戻された冴木(成田凌)は五味(黒木メイサ)から、公私混同しないよう忠告を受ける。花音が事件の共犯者である疑いは完全に払拭されたわけではない。花音の身を案じる冴木は事件に関わらないように花音に伝えた。

 灰川邸事件の犯人をめぐって、顔に傷のある男が何者かが注目を集めた。花音の知られざる過去、虐待した実の母親が焼死した事実は、灰川邸で生き残った6人のなかに真犯人がいる可能性を示唆していた。他方で、第5話の終盤にかけて明かされたのは、予想の斜め上を行く驚きの真実だった。

 灰川十三(小日向文世)というキャラクターについて、虐待されて行き場のない子どもたちを邸に住まわせ、父親代わりに育てたこと以外に、第4話では故郷の蔵土村で起きた凄惨な事件と、ドラマのタイトルになっている詩の由来が明かされた。これらは言うなれば灰川の少年期である。

 第5話では灰川のその後が描かれたが、そこに至る探索の過程に謎解きの要素があった。事件の舞台になった灰川邸は山奥の豪壮な邸宅だが、ポイントになる場所があって、13人の遺体が発見された地下室、『我が子を食らうサトゥルヌス』の額絵が飾られた正面階段、見晴らしのよいバルコニーが特徴的である。

 灰川の葬儀を終えた花音は、マヤ(仲万美)や悟(松本怜生)、優磨(カカロニ栗谷)と灰川の遺志をかなえる。「生きた証は人の中に残る」と語った灰川は、遺灰を散骨するように言い残した。血のつながりにこだわらない灰川の死生観は独特で、あらためて家族をどんなものと考えていたかが気になる。

 散骨では遺骨を砕き、ふるいにかける。粉骨は実際に行われており、専門の業者もあるが、生きていた人間の体の一部をバラバラにする仕草はグロテスクで、制作陣が果敢にタブーに挑んでいる様子が伝わってきた。偶然、造花のサツキに気づいたことで、花音が掘り出した箱には灰川の日記が納められていた。

 魂の棺のような日記には灰川の人生がつづられていた。少年院を出た灰川青年(上川周作)が、最愛の人と呼べる女性と出会ったこと。米田深雪(小島藤子)は夫の暴力から逃れて、灰川と暮らしはじめる。二人は子を授かるが、夫との離婚成立前であり、灰川たちは届け出のない子どもとして長男を育てることにした。

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