『クレオの夏休み』手描きアニメーション公開 小川紗良、沖田修一らの絶賛コメントも
7月12日よりヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamura ル・シネマ 渋谷宮下ほかにて全国公開されるフランス映画『クレオの夏休み』の手描きアニメーション動画が公開された。
第76回カンヌ国際映画祭批評家週間オープニング作品に選出された本作は、6歳の少女とナニー(乳母)の血のつながりを超えた深い愛の絆を、少女の目線で描いた人間ドラマ。主人公クレオを、公園で遊んでいたところを偶然見出されたという、撮影当時5歳半だったルイーズ・モーロワ=パンザニが演じた。
監督を務めたのは、共同監督を務めた前作『Party Girl(原題)』でカンヌ国際映画祭のカメラドール(新人監督賞)を受賞し、本作が長編単独監督デビューとなったマリー・アマシュケリ。製作は、『燃ゆる女の肖像』などセリーヌ・シアマ監督作品をデビュー作から手がけるLilies Filmsが務め、主要スタッフはほぼ全員女性で作り上げられた。
父親とパリで暮らす6歳のクレオは、いつもそばにいてくれるナニー(乳母)のグロリアが世界中の誰よりも大好き。お互いに本当の母娘のように想いあっていた2人だったが、ある日、グロリアは遠く離れた故郷へ帰ることに。突然の別れに戸惑うクレオを、グロリアは自身の子供たちと住むアフリカの家へ招待する。そして夏休み、クレオは再会できる喜びを胸に、ひとり海を渡り彼女のもとへ旅立つ。
公開されたのは、乳母を追い求めるいじらしい子供心がファンタジックに表現されたアニメーション動画。本作はクレオの揺れる幼い心象風景が、実写とアニメーション映像を織り交ぜて表現されている。その理由についてアマシュケリ監督は、「子供の内なる世界、クレオが感じているけれど言葉が足りなくて表現できないことを、アニメーションで表現した」と語った。また、アニメーション部分の制作について「アニメーション部分は、児童書の作家兼イラストレーターである友人のピエール=エマニュエル・リエに、共同監督とグラフィックリサーチとデザインの監督を頼みました。私たちは、素晴らしい色彩感覚を持つピーター・ドイグとフェリックス・ヴァロットンの作品を参考にして、一枚一枚のフレームに手作業でアニメーションペイントを描くことにしました。背景とセットはイラストレーションソフトの最先端技術を使用し、両方のテクニックを組み合わせて女性中心のチームで取り組んでいきました」と明かした。
あわせて、映画監督の沖田修一と森井勇佑、モデルの森絵梨佳、文筆家・映像作家・俳優として活動する小川紗良、料理人でeatripを主宰する野村友里からの応援コメントや、歌人・岡本真帆による短歌、漫画家・じゃんぽ〜る西によるストーリー漫画、イラストレーター・しばひろによるイラストが公開された。
さらに、本作の公開を記念して、フランス菓子ブランドで「母と娘」という意味を持つ「マモン・エ・フィーユ」とのスペシャルタイアップが決定。同ブランドの「フレンチビスキュイ缶」もしくは「焼菓子詰合せ」が計20名に当たるプレゼントキャンペーンが、映画の公式X(旧Twitter)にて開催されている。
コメント
沖田修一(映画監督)
子供が子供らしく映画に映っているのだけで、奇跡みたいなものだ。それ以上に、クレオ役の子が輝いている。どうやったらこんなの撮れるのか、不思議だ。
森絵梨佳(モデル)
なんて繊細な心の揺らぎが映し出されているのだろう。心と心が深く繋がることはどんな関係をも越えてゆく。
森井勇佑(映画監督)
こどもの頃はひとつひとつの別れに敏感だった。今よりずっと巨大な出来事だった。この映画を観て、そのことを思い出した。
この映画では2度別れが描かれる。1度目から2度目までの間に、クレオさんはまるでちゃんと別れるための準備をしているようにも見えた。
こどもの頃の方が別れを理解していた。大人になってからは、うまく理解することができない。この映画で、大人の涙のほうが悲痛なのはそのためだと思う。2度の別れの、そのどちらともとても気丈だったクレオさんの姿が胸に残っています。
小川紗良(文筆家・映像作家・俳優)
終始、カメラの距離が近い。観終わって、あれは大好きな人に抱きしめられていた、あたたかな記憶の距離なのだと腑に落ちた。
岡本真帆(歌人)
お別れは永く私のそばにいて疼いて示すその輪郭を
野村友里(料理人/eatrip 主宰)
クレオのいっぱいの感情表現に心が奪われっぱなしでした。
かけがえのない人と人としての結びつきを画面いっぱいで見てほしい映画。
きっと体温や息遣い感情の音まで感じ取れるでしょうから。
前田敦子(俳優)
クレオの感情の冒険をグロリアの無償の愛が包み込み温かい時間が流れていく。
沢山の愛が詰まっていてとても幸せな気持ちになれました。こんな素敵な作品に出会えて幸せです。
■公開情報
『クレオの夏休み』
7月12日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamura ル・シネマ 渋谷宮下ほか全国公開
出演:ルイーズ・モーロワ=パンザニ、イルサ・モレノ・ゼーゴ
監督:マリー・アマシュケリ
製作:Lilies Films
配給:トランスフォーマー
2023 年/フランス/フランス語、カーボベルデ・クレオール語/83分/カラー/1.42:1/5.1ch/原題:Àma Gloria/日本語字幕:星加久実
©︎2023 LILIES FILMS
公式サイト:https://transformer.co.jp/m/cleo/
公式X(旧Twitter):@cleo_movie