『光る君へ』吉高由里子×松下洸平の“心”を映す芝居 「抱きしめられると分かる」の重み

 公式サイト内のキャストインタビュー動画「君かたり」にて、吉高は周明に利用されたことについて「ちょっと心開いていたぶん、情けないというか愚かな自分の自覚もあると思うし、でも何か見捨てられない、助けてあげたい気持ちも周明に湧いているんじゃないかなとも思うし」といった、まひろの複雑な心境についてコメントしている。

 吉高はこれまでいろいろな経験をしてきたまひろは一日一日を生きる覚悟が今の感覚とは違う感じがするとも語り、「『いろいろあるな、生きていれば』とか思っているんじゃないですかね。『利用された、ショック、もう生きていけない』とかじゃなくて『生きていればいろいろあるな』ぐらいの感じで客観的に見ているんじゃないかな」とまひろの人物像を俯瞰的に捉えている。

 乙丸(矢部太郎)との会話を通じて、どんなに身近な人であっても分からないことばかりだと知ったまひろは「あの人も精いっぱいなのだわ」と周明を思う。視線を落とした面持ちには、「私はまだ何も分かっていないのやも……」と呟き、自省するまひろの心情が表れているが、台詞の言い回しは落ち着き払っており、周明に対して気持ちを入れ込みすぎないさまがまひろの冷静な一面を際立たせる。この場面での表情こそ、吉高が語った「生きていればいろいろあるな」という心境ではないだろうか。

 まひろが憧れていた宋の人である周明との別れはわだかまりが残るものとなってしまったが、まひろが父・為時に宣孝からの求婚を打ち明ける一連のシーンはコメディタッチで面白かった。また幕引きでは、宣孝からの文を受け取ったまひろが、「都に帰ってまいれ」という宣孝の姿を想像したのかおかしそうに笑う。リラックスした朗らかな笑顔だった。宣孝は真にまひろの心を楽にする存在なのかもしれない。

■放送情報
『光る君へ』
NHK総合にて、毎週日曜20:00〜放送/ 翌週土曜13:05〜再放送
NHK BS・BSP4Kにて、毎週日曜18:00〜放送
NHK BSP4Kにて、毎週日曜12:15〜放送
出演:吉高由里子、柄本佑、黒木華、井浦新、高杉真宙、吉田羊、高畑充希、町田啓太、玉置玲央、板谷由夏、ファーストサマーウイカ、高杉真宙、秋山竜次、三浦翔平、渡辺大知、本郷奏多、ユースケ・サンタマリア、佐々木蔵之介、岸谷五朗、段田安則
作:大石静
音楽:冬野ユミ
語り:伊東敏恵アナウンサー
制作統括:内田ゆき、松園武大
プロデューサー:大越大士、高橋優香子
広報プロデューサー:川口俊介
演出:中島由貴、佐々木善春、中泉慧、黛りんたろうほか
写真提供=NHK

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