『95』髙橋海人らが体現した青春の“泥臭さ” 最終回は第1話の“伏線回収”で大団円

 ラストは、1996年に3学期初日から授業をバックれたQたち5人が新城(渡邊圭祐)のバイトするカラオケ店に集まるシーン。先述した「愛し愛されて生きるのさ」を筆頭に、H Jungle with t「WOW WAR TONIGHT 〜時には起こせよムーヴメント」、BOØWY「Marionette ~マリオネット~」、WANDS「世界が終るまでは…」、Mr.Children「CROSS ROAD」など、これまで90年代を代表する楽曲が物語と密接にリンクしてきたが、ラストを飾ったのは、1995年に解散したTHE BLUE HEARTSの「少年の詩」だった。

 〈そしてナイフを持って立ってた〉というサビの危うさを孕んだフレーズと、最後の〈そして! いろんな事が思い通りになったらいいのになあ〉という真っ直ぐな願いは、Qや翔たち、引いては『95』という作品を象徴した選曲であったように思える。

 改めて『95』は平成初期のヒリヒリとした時代のムードを青春群像劇として映し出すのに成功した、令和のドラマとしてはありそうでなかった作品となった。一線を画していたのは暴力、喫煙、性行為といった現代では表現するのをためらいそうになる描写に真っ向から挑んでいったこと。キラキラとした青春ドラマではなく、泥臭さ、暑苦しさを体現していった髙橋海人をはじめとしたキャスト陣。特に髙橋は自身に劣等感を抱きながらも、翔との出会いによって変わり、強くなっていくQを全身だけでなく目の動きや表情の変化まで繊細に伝えていた。

 「キュウゴー同窓会」で髙橋は、『95』を観終えた時にQたちが「愛しい奴らだった」と思えるのではないかとコメントしていたが、すでにもうQや翔たちに会いたくなってしまっている。

■配信情報
テレビ東京開局60周年連続ドラマ ドラマプレミア23『95』
Lemino、U-NEXTにて、第1話〜最終話まで見放題配信中
ネットもテレ東(テレ東HP、TVer)にて見逃し配信中
出演:髙橋海人、中川大志、松本穂香、細田佳央太、犬飼貴丈、関口メンディー、浅川梨奈、工藤遥、井上瑞稀、渡邊圭祐、鈴木仁、三浦貴大、山中崇、紺野まひる、勝矢、嶋田久作、新川優愛、桜井日奈子、斉藤由貴、桜井ユキ、安田顕
原作:早見和真『95』(角川文庫)
脚本:喜安浩平
監督:城定秀夫
音楽:ゲイリー芦屋
主題歌:King & Prince「moooove!!」(UNIVERSAL MUSIC)
チーフプロデューサー:森田昇(テレビ東京)
プロデューサー:倉地雄大(テレビ東京)、清家優輝(ファインエンターテイメント)
制作:テレビ東京
制作協力:ファインエンターテイメント
製作著作:「95」製作委員会
©︎「95」製作委員会
公式サイト:https://www.tv-tokyo.co.jp/tx_95/
公式X(旧Twitter):https://twitter.com/tx_drama95
公式Instagram:https://www.instagram.com/tx_drama95/

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