『ミラベルと魔法だらけの家』こだわりの楽曲は必聴! 好感が持てる等身大のヒロイン像

 11月17日放送の日本テレビ系『金曜ロードショー』で、ディズニーのミュージカルファンタジー『ミラベルと魔法だらけの家』(2021年)がテレビ初放送される。第94回アカデミー賞長編アニメーション作品賞を受賞した本作の魅力や見どころをお伝えしたい。

 魔法の力に包まれた、不思議な家に暮らすマドリガル家。その家に住む家族は、全員「魔法のギフト」を与えられ、それぞれ独自の魔法を使えるのだが、ミラベルにはそのギフトが与えられず、成長しても何の魔法も使えなかった。そんな中、ミラベルは家に大きな“亀裂”が入っているのを発見し、大切な家と家族に危機が迫っていることを知る。魔法に頼らず、たった一人で危機に立ち向かっていくミラベルは、家族を救う唯一の希望となり、やがて“真実”へと辿り着いていく。

 南米コロンビアの奥地を舞台に、3姉妹の末っ子で、メガネをかけた15歳の少女・ミラベルが主人公の本作。ディズニーのアニメーション作品の中でも一風変わった雰囲気だが、等身大のヒロインには非常に好感が持てる。長姉のイサベラは花を咲かせる魔法、次姉のルイーサは怪力の魔法を使うことができる中、魔法を使えないミラベルは、姉たちと自分を比較して、どうしても劣等感を抱いてしまう。彼女のそんなところにも、共感する人は多いのではないだろうか。

 ただ、ミラベルはくよくよしたり、落ち込んだりせず、自分にできることをしようと日々頑張っている、ポジティブなヒロインだ。冒険心も旺盛で、家族のためなら多少の危険もいとわない。そんな彼女を取り巻くマドリガル家には、個性的な面々がそろっており、お節介だったり、ちょっと面倒くさい者もいたりするが、ぶつかり合っても、本音を伝えて和解できる人情味がある。

 『ミラベルと魔法だらけの家』は、ミラベルの成長物語と、一族のルーツ、そして家族愛など、ストーリーが魅力的だが、何と言ってもミュージカル作品である本作は、音楽が抜群にいい。トニー賞やグラミー賞を複数回受賞している、『モアナと伝説の海』でもおなじみのリン=マニュエル・ミランダが、オリジナル楽曲を担当。伝統的なラテンミュージックと、現代的なヒップホップなどを織り交ぜた独自の音楽を作曲するのが得意なミランダによる本作の楽曲は、カラフルな色彩のアニメーションによく合っていて、聴いていると気分が上がる。

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