池松壮亮×森田剛、念願の初共演を語り合う 2人にとって“夢を追い続けること”とは?
「めちゃくちゃ楽しかった」二人三脚のシーン
――森田さんは池松さんと組まれていかがでしたか?
森田:希望が叶いました。これ、今回どこでも言ってるので、ちょっとあれですけど(笑)、でも本当なんですよ。本当にずっと会いたくて、ご一緒したいと思っていたから、嬉しかったですし、ピアノを弾く姿を見ていて、キレイだなと思いました。美しいなと。だから僕が思っている感情と“あいつ”が思っている感情には近い感じもあったんです。(主人公の音楽を)「好きになっちゃったからしょうがないでしょ」と言う“あいつ”と、僕が「池松くんと仕事をしてみたい」という気持ちには近いものがあった。現場では、本当に何をやっても受け止めてくれるすごい安心感がありました。
――本番前にピアノの練習している姿を見たりもされましたか?
森田:僕が見たのは、練習というより、撮影の合間に普通にピアノを触っている姿です。そのときもただ「すごいな」としか思っていませんでした。池松くんがピアノを半年間も練習されていたというのは、後から聞いたんです。
池松:まあ、でもそれは普通のことというか、僕がこの作品のためにできることは、ピアノを半年間触ることと、もみあげを捧げることぐらいだったので。
森田:あはは!
池松:そうやってピアノに触っている時間そのものが、この役に近ずくまでのプロセスになってくれました。
――森田さんが、池松さんとのシーンでさらに「好きになっちゃった」瞬間はありましたか?
森田:二人三脚のシーンがめちゃくちゃ楽しかったですね。冨永監督からは、「“あいつ”は普段、腰にナイフと拳銃をいっぱい隠し持っている」という説明を受けていたんですけど、池松くんとの二人三脚のシーンで、それをひとつひとつ落としていかなきゃいけなかったんです。それが、すっごく難しいシーンで。
池松:何度もやりましたよね。うまく落ちなくて。二人三脚しながら、見えないようにこっそり僕もナイフを数本落としました。
森田:その時に池松くんに「森田さん、できますか? できるんですか?」ってちょっと追い詰められたのを、今、思い出しました。
池松:そんなこと言ってないですよ(笑)。
森田:「う、うん。やってみるけど」みたいな感じでした(笑)。
――おふたりが「夢を追い続ける」ことに対して思うことを教えてください。
池松:“夢”と考えるものって、いろいろあると思うんですけど、一貫して好きでいられること、何があろうと“情熱”を傾け続けられる対象があること……。追えば追うほど光が見えなくなることもありますが、好きなことをずっと続けられているということそのものが生きていることと同じくらい尊いものだと思います。
森田:今の池松くんの言葉を聞いていて、“情熱”ってのがいいなと思いました。僕も、どこに情熱を持てているかを常に確認しながら、ここまでやってきた気がしますね。
――公開にあたって、池松さん、最後にひと言お願いします。
池松:あの頃の銀座を舞台に、極上の音楽にのせて、一夜で魅せるある男の人生と、それを取り巻く人生の物語です。映画館でぜひ人生と音楽を味わってもらえたら幸せです。人生を感じて、うっとりと、酔いしれることができるような映画を目指しました。この映画が、誰かの人生のほんの隙間を埋められるような、そんな作品であることを願っています。
■公開情報
『白鍵と黒鍵の間に』
テアトル新宿ほかにて公開中
出演:池松壮亮、仲里依紗、森田剛、クリスタル・ケイ、松丸契、川瀬陽太、杉山ひこひこ、中山来未、福津健創、日高ボブ美、佐野史郎、洞口依子、松尾貴史、高橋和也
原作:南博『白鍵と黒鍵の間に』(小学館文庫刊)
監督:冨永昌敬
脚本:冨永昌敬、高橋知由
音楽:魚返明未
製作幹事:ポニーキャニオン/スタイルジャム
制作プロダクション:東京テアトル/スタイルジャム
制作協力:ARAKINC.
配給:東京テアトル
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業)独立行政法人日本芸術文化振興会
製作:「白鍵と黒鍵の間に」製作委員会
2023年/日本/94分/カラー/シネスコ/5.1ch
©︎2023 南博/小学館/「白鍵と黒鍵の間に」製作委員会
公式サイト:hakkentokokken.com