紀子が言及した、万太郎の理学博士の話がフラッシュバックでカバーされていくのも面白い演出だが、波多野（前原滉）と藤丸（前原瑞樹）の再登場は喜ばしいサプライズであった。藤丸の近況から、竹雄と綾がうまくいっていることも知れて一安心。『らんまん』は第24週から第25週にかけて、じっくりとこれまでの登場人物との別れを描いてきたからこそ、最終週は逆にゆったりとした気持ちで観られるのが興味深い。すでに万太郎と寿恵子のいない世界を映しながら、彼らの最期までを描ききるのだろうか。

　物語がどんな終わりを迎えても、どんなに時が経っても、第1話で子供の万太郎が縁の下に頭を突っ込んでいた時と同じ格好で草花を愛し続ける万太郎が第127話で描かれた。彼の笑顔と植物への愛は、『らんまん』という朝ドラ史の名作とともに、私たちの心の中に残り続けることだろう。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回（全26週）】
総合：午前8:00〜8:15、（再放送）12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K：7:30〜7:45、（再放送）11:00 〜11:15
出演：神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣ほか
作：長田育恵
語り：宮﨑あおい
音楽：阿部海太郎
主題歌：あいみょん
制作統括：松川博敬
プロデューサー：板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出：渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供＝NHK