『ハヤブサ消防団』川口春奈の目の芝居が凄すぎる! 最後の不敵な笑みの真意は?

 前回、立木彩(川口春奈)が新興宗教に入信していたという衝撃的なラストで幕を閉じたドラマ『ハヤブサ消防団』(テレビ朝日系)。第5話では、彩はどうして宗教団体「アビゲイル騎士団」に入ってしまったのか、その過去が明かされていく。

 始まりは7年前、面接会場。そこには夢に満ち溢れた彩の姿があった。「目標は脚本家、監督として、見る人の心に残る作品を作ることです」と面接官にアピールするキラキラとした彩の表情から、ロケ現場で新人として揉まれるAD時代を経て、東京アーツムービーの社長兼ディレクターで“キング”と呼ばれる浅野(久保田悠来)に出会い、利用されるまでが描かれる。

 彩が高校の時から温めていた作品『ループ〜きのうの明日』は、浅野が書いたことにすり替わってしまった。それはつまり、ゴーストライター。充実した日々を過ごす彩の心がボキッと折れる、壊れる瞬間だった。その挫折、失望を短い映像の中で印象的に映し出すため、川口春奈が無邪気で、希望に満ちた若者を全力で演じているからこそ、そこから彩の表情がなくなっていくことでその人生の急転直下が色濃く感じられる。

 その後、彩は友人の誘いでアビゲイルに入信していくことになる。人生に行き詰まっていた彩に優しく接してくれ、自分と自分の作品を認めてくれる――彼女にとってそれは救いであったかもしれないが、客観的に見ればゆっくりと洗脳されていく過程でしかない。印象的なのは冷静を保っていたはずの彩でも、「何かが一つに繋がったような、自分の人生が何か分かった気がしたんです」とスピリチュアルな感覚を振り返っていること。かつて、「観る人の心に残る作品を作ること」を目標にしていた彩は皮肉にもアビゲイルの信者たちの心を掴むPR映像を制作することになる。

 アビゲイルの教祖と教団幹部たちが信者12人を拷問して殺害した事件後、教団は解散。彩は地方の専門学校で講師の職を得たのをきっかけに、一目につきにくいハヤブサに移り住んだ。今、アビゲイルとは何の接点もなく、熱狂的な信者に見つかったら教団から何か言われるかもしれないと、逆に冷静さを見せる彩。今の心の拠り所は、ハヤブサの住民、そして三馬太郎(中村倫也)であると。

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