一つの謎が解けたかと思うと、またもビックリする展開が待ち受ける。『この素晴らしき世界』（フジテレビ系）は驚きの連続だ。第4話では、とうとう妙子（若村麻由美）の正体が育田（平祐奈）にバレることに。だが育田にもまた思いもよらない事情があった。

　夏雄（沢村一樹）は謎のクーラーボックスを処分するために大木戸（谷田部俊）とともに山奥に来ていた。中身は、なんと捨て忘れた生ゴミであり、事件性は全くないことが明らかになる。行方不明の若菜（若村麻由美：2役）は実は生きていた。だが妙子や莉湖（木村佳乃）は居場所をまだ知らないまま。そうこうするうちに、思わぬところで妙子に危機が訪れる。ラビットマートの新米パートの育田に、夏雄といるところを見られてしまったのだ。おまけに後までつけられ、若菜に成りすましていることまでバレてしまう。このビッグな情報を売ろうと画策する育田だが、あることをきっかけに考えを変える。実は育田にも、“かつて男性として生きていた”という秘密があり、それを知るのは実の母親と妙子の息子のあきら（中川大輔）だけ。あきらを友として信頼する育田は、妙子の秘密を一緒に守り抜くことになる。

　第4話では、真実と秘密が交差する。特別な事情はなにも芸能界に限ったことではなく、会社も、家庭も、個人も、いろんなことを抱えている。育田が抱えていた秘密は意外なものであったが、あきらとの友情が結果として妙子を救ったと考えると、妙子の子育ては巡り巡って大成功だったのだろう。スケールの大きな芸能界でのハプニングを描いた後の回で、家族や友人などの小さなコミュニティが支えあうことで救われていくエピソードを持ってくるという対比も、『この素晴らしき世界』の味わい深いところ。妙子は正反対の世界を行き来し、その中で日々丁寧に真面目に生きているのだ。

　これまでは妙子を中心に物語が進んでいたが、徐々に蛍（永瀬莉子）、あきら、莉湖の人生も描かれ始めた。特に蛍とあきらについてはまだまだ分からないところも多く、非常に気になるところ。蛍のビジネスが信頼できるようなものなのかもわからない上に、あきらが全く妙子に相談していないことにも不安が募る。そして莉湖も、妙子のアドバイスをきっかけに“過重労働で訴えられている件”を自分で確かめようとし始める。だがセシル（円井わん）には「本当のことを知っても何もできないと思います」と釘を刺されてしまった。プロダクション曼珠沙華には、まだ深い闇があるのかもしれない。

　忘れてはならないのが、妙子が「Mr. Summer Time」の正体を知らないまま芸能界の込み入ったことを相談している点だ。そこで返ってきた言葉は「自分を信じて！」だったが、果たして「Mr. Summer Time」は信じられる人物なのか。次週もまた妙子がいろいろな出来事に巻き込まれていく予感がする。たとえどんな問題があっても、しなやかに乗り越えるところが妙子の良さ。莉湖の家で家事代行をしながら、若菜になりすまし、ラビットマートでパートもこなすスーパー主婦にしかできないことが、まだまだ“この素晴らしき世界”にはありそうだ。

■放送情報
木曜劇場『この素晴らしき世界』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00～22:54放送
出演：若村麻由美、木村佳乃、マキタスポーツ、平祐奈、中川大輔、永瀬莉子、円井わん、
時任勇気、谷田部俊（我が家）、堺正章、猫背椿、佐戸井けん太、西村まさ彦、沢村一樹
脚本：烏丸マル太
演出：平野眞、山内大典ほか
プロデュース：鈴木吉弘、水野綾子
主題歌：小田和正「what's your message?」（ソニー・ミュージックレーベルズ）
音楽：村松崇継
制作協力：共同テレビ
制作著作：フジテレビ
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