『ハヤブサ消防団』川口春奈は完璧なキャスティングだった 彩の秘密がついに明らかに

 ドラマ『ハヤブサ消防団』(テレビ朝日系)について、第1話時点から面白い作品だとは思っていたし、周りから聞こえてくる評判も上々で、回を重ねるごとに期待値は高まっていくばかりであった。

『ハヤブサ消防団』は異色のミステリードラマ 池井戸潤&中村倫也の新たな代表作に?

中村倫也が主演を務めるドラマ『ハヤブサ消防団』(テレビ朝日系)が、7月13日よりスタートした。  本作は、池井戸潤の同名小説を…

 筆者は第1話での記事のラストに「異色のミステリードラマとして、池井戸潤、中村倫也の新たな代表作になり得る可能性は十分にある」と書いたが、第4話はそれが確信に変わる節目の回。主題歌である、ちゃんみな「命日」が放送終了直後に配信スタートとなっているのは、ドラマ側、もしくはレーベル側がその反響を見越してのことであろう。

 まず筆者が特筆したいのは、本作がミステリードラマであることを前提にして、非常に特殊かつ巧みな演出で濃密な54分間を楽しませてくれることだ。そこには考察云々を抜きにした、純粋なドラマとしての魅力や制作陣の工夫が感じられる。

 『ハヤブサ消防団』において第1話から特徴的だったのが、三馬太郎(中村倫也)がカメラ目線で視聴者に向けて話しかけるモノローグ。それは『古畑任三郎』(フジテレビ系)をリスペクトしてのものなのだろうと途中から思い始めたが、このモノローグが第4話では効果的に使用されていた。

 第4話は、広場で子供たちに混じって立木彩(川口春奈)がフルーツバスケットをする映像からスタートする。円状に等間隔で並べられた椅子に、白装束、まばゆい太陽の光。真っ直ぐな視線から笑みを浮かべる立木のその姿、その画からは映画『ミッドサマー』を連想した視聴者も多いだろう。

 そんな夢から目覚めた彩。そこは太郎の家で、彼女が着ているのは男物のTシャツ。居間では朝から太郎がリモートで中山田洋(山本耕史)と打ち合わせを行っており、洗面所に向かう彩を太郎が目で追っていく。

「僕はハヤブサで初めて彼女を見た時からすでに惹かれていた。でも、30代半ばにもなれば、意中の女性と一夜を過ごすぐらいで浮かれることはない……というのが嘘だということは、男の誰もが知っている。昨夜も今朝、起きた時も、僕は一人で踊りだすぐらいの浮かれ具合だった。彩さんとの関係がこの急展開を迎えるまで、何があったのかというと……」

 という語りから、物語は7月23日から7月10日へ――つまりは、13日間で彼らに何があったのかが描かれていくというわけだ。第3話で、ハヤブサ地区をPRする町おこしドラマ企画が町長の村岡信蔵(金田明夫)に却下されてしまったことを太郎に黙って、嘘をついていた彩を我々視聴者は知っているため、なおさらこの2人がなぜ恋仲へと発展していくのかに注目は向くが、そこはある種のダミーであり、真相はさらにその先にある。

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