『スプリガン』は「原作とアニメの両方を楽しむのが一番良い楽しみ方」

ーー原作をすでに読んでいるファンからして、アニメ化に期待したのはどんな部分ですか？

宮下：『スプリガン』って、やはりアクションにスピード感があって面白いんです。皆川さん独特の目や動きの描写を含め、彼にしか描けないアクションなので、そこをどう表現するのかが気になっていました。あとは、意外と『スプリガン』って字が多いんです。オーパーツの説明とか遺跡の説明とか。だからナレーションはすごく良い声の人にやってほしいって思っていました。そこはアニメのプレートの説明から入るシーンでグッと来ましたね。

ーーアニメでのお気に入りの回は？

宮下：「炎蛇」は『スプリガン』を代表する、最後まで重要な話ですからね……。でも「バーサーカー」が好きなんですよね。恐ろしいんですよ。対人間って会話が生まれるから、その分胸熱な展開になるけど、バーサーカーって言葉を話さないから、ただひたすら怖い。だから、より「御神苗頑張れ」という感じで観れる回です。あと、イギリス軍の女性将校のマリアとの友情の芽生え方も良いんです。『スプリガン』って、結構はっきりと説明せずに終わることも多いんですよ。ちょっと余白というか、こっちに考える余地を残して、じわあって終わることも多い。そういう意味でまた振り返った時に「あれってこういうことだったのかな」って感じることも楽しさであり、ストーリーの深さなんですよね。あと「忘却王国」も良かったです。師との戦い。これ、個人的に船長のスティーブ・H・フォスターの声優が大塚明夫さんだったことが、本当に嬉しかったです。

ーー制作の方曰く、フォスターの声優はスタッフ全員が大塚さん一択で、他の選択肢はなかったそうです。

宮下：そうなんですね。俺、大塚さんの声のカーナビ欲しいですもん（笑）。でもやっぱり全話良いなあ。「帰らずの森」も好きです。なんか、『スプリガン』って機械とかそういう科学力みたいなのも出てくるんですけど、それと同時に科学では説明できない神秘的な話、霊的な話も多いんですよ。そこがこの「帰らずの森」でうまくミックスされているのがすごく面白くて。まさにそんなスプリガンの霊的な部分、科学的な部分、機械的な部分、全部がごっちゃまぜになった良い回でした。

ーーアニメーションについて印象深かった点はなんでしょう？

宮下：『スプリガン』のアニメは普通の昔ながらのアニメーションと、現代的なCGの組み合わせが特徴的だなと思っています。そこって結構合わせた時に合成っぽくなったり、浮いて見えたりしちゃうものですが、そこにすごく気を遣って作られていて。うまいことあの昔ながらのアニメの感じと、今の最新のCGでやるエフェクトが合わさっていて、本当に昔のアニメの上位互換を見ている感じが印象深かったですね。

ーー原作読者として地上波放送が開始されたアニメ『スプリガン』、初見の方や同じく原作を読まれた方に注目してほしいのは？

宮下：本当に毎回声優さんも豪華だし、今回アニメ化されたエピソードがめちゃくちゃ良いラインナップなんですけど、この後ももちろんすごく良いんですよ。僕の好きな朧が無双する場面や、もっとカッコいいシーンがあるんです。アニメにも登場する「A・Mスーツ」ってすごく魅力的だし良い装備だけど、「最終的にはこの装備いらないんじゃないか」って話にもなってくるんです。御神苗と朧との関係性も今後より出てくるし、ジャンの幼少期の話とかめっちゃ良い。そこで彼のルーツを知ってから、もっとジャンが好きになるんです。なので、そういう話も早くアニメ化して続編として出たらなって期待もありますね。早く続きが見たいし、最後まで描いてほしいです。

ーーよくある原作沿いのアニメは、漫画とほぼ変わらないカットやセリフで構成されるため目新しさに欠ける点もありますが、『スプリガン』は原作を読んでいても、新鮮な気持ちでアニメを楽しめられると感じますか？

宮下：『スプリガン』は年代の古い漫画なので、ある程度、アニメでは今の時代に寄せているところがあって、タブレットや携帯を使っていたりします。 “昔ならではの描写”は原作で楽しめるし、アニメーションでは今の時代に寄せた描写が楽しめる。今を生きている人にも観やすい、違う魅力があると思います。原作とアニメの両方を楽しむのが一番良い楽しみ方だし、アニメでハマったら絶対原作を読んでほしい。そして続編のアニメを楽しみにしてほしいですね。

ーー最後に、『スプリガン』にしかない魅力とは？

宮下：『スプリガン』の話の作り方って、今の連載でやると難しいと思います。まず一つのテーマがあって、それが何話か続いて、それでまるまる1つのエピソードなんですよ。それを全部連なって読むと、実は少しずつ話が進んでいるという話の作り方なんです。今の連載で言うと、1話の終わりに絶対次に読みたくなる何かを起こさなきゃいけないですよね。それだとやはりどうしても、それぞれ1話ごとの感じが浮いちゃうんですよ。でも『スプリガン』は長い目で完成された1つの話だから、それって今の連載漫画にあまりない魅力だと思います。そして、少しずつ話が進んでいっているスタイルが、実はNetflixの配信で1話45分程度のアニメにした時にめちゃくちゃ映えるんですよね。他の作品を45分にすると、途中で何かが起きるから中途半端になっちゃう気がする。そう言う意味では、このアニメの尺ですごく完成度が高く作れる原作っていうのが他にはない、今の漫画界にはあまりない作品なのではないかなと。他にも同じ年代で『スプリガン』以外にもそういう漫画はあるにしろ、やはりこういう作品って貴重だし、絶対観ておくべきだと思います。

■放送情報
アニメ『スプリガン』
TOKYO MX：毎週金曜25:05〜
メ～テレ：毎週土曜26:30〜
BS11：毎週金曜25:30〜
アニマックス：8月5日（土）20:30～
※放送日時・内容は変更になる可能性あり
原作：たかしげ宙、皆川亮二『スプリガン』（小学館『少年サンデーコミックス』刊） 
監督：小林寛
副監督：三宅将平
シリーズ構成・脚本：瀬古浩司
キャラクターデザイン・総作画監督：半田修平
サブキャラクターデザイン・総作画監督：内藤直
プロダクションデザイン：JNTHED
美術監督：金子雄司
色彩設計：三笠修・佐々木梓
CGディレクター：石井規仁
撮影監督：元木洋介、村上展之、鯨井亮
編集：三嶋章紀
音楽：岩崎太整
音響監督：長崎行男
ミキサー：小原吉男
音響効果：倉橋裕宗、白石唯果
音響制作：ダックスプロダクション
音楽制作：エイベックス・ピクチャーズ
制作：david production
製作：スプリガン Project
オープニング主題歌：Seeking the Truth feat. YAHZARAH／岩崎太整
エンディング主題歌：Ancient Creations feat. Shing02／岩崎太整
声の出演：御神苗優：小林千晃、ジャン・ジャックモンド：阿座上洋平、朧：子安武人、山本所長：浜田賢二、スティーブ・H・フォスター：大塚明夫、メイゼル博士：麻生智久、マーガレット：小林沙苗、染井芳乃：伊瀬茉莉也、山菱理恵：神戸光歩、笹原初穂：河瀬茉希、笹原香穂：渡部紗弓、マリア・クレメンティ中佐：早見沙織、川原鈴子：赤﨑千夏、諸刃功一：成田剣、ヴィクトル・シュトローフ：乃村健次、マクドガル大佐：村瀬歩、リトルボーイ：岩田光央、ファットマン：間宮康弘、暁巌：細谷佳正、ボー・ブランシェ：稲田 徹、ボーマン：菅生隆之、ラリー・マーカスン：竹内良太、ナレーション：増谷康紀ほか
©︎2021 たかしげ宙、皆川亮二・小学館/スプリガン Project
公式サイト：https://spriggan-anime.jp/
公式Twitter：https://twitter.com/spriggan_anime
公式Instagram：https://www.instagram.com/spriggan_anime
公式YouTube：https://www.youtube.com/@spriggan_anime
Netflix作品ページ：https://www.netflix.com/title/81050064

■リリース情報
『SPRIGGAN Blu-ray BOX』
スリーブケースイラストはJNTHEDが、デジパックイラストはキャラクターデザイン・総作画監督の半田修平がそれぞれ描き下ろす豪華仕様。さらに未公開設定なども掲載した豪華ブックレットが付録。
発売日：9月29日（金）
価格：38,500円（税込）
収録内容：
・Blu-ray2枚組
・ブックレット
詳細：https://spriggan-anime.jp/bd-cd/detail/?id=1019828

【オリジナルサウンドトラック】
『SPRIGGAN ORIGINAL SOUNDTRACK』
主人公・御神苗優が訪れた国々や、出会ってきた遺跡やオーパーツ、様々なキャラクターたちを思いながら、作曲家の岩崎太整が作り上げた、OPテーマ、EDテーマ含む計37曲、約95分にも及ぶ名曲の数々が勢揃いのオリジナルサウンドトラック。
発売日：8月23日（水）
価格：3,850円（税込）
詳細：https://spriggan-anime.jp/bd-cd/detail/?id=1019829

【原作コミックス】
原作コミックス『SPRIGGAN』復刻BOX vol.1～3発売中
「原作コミックス『SPRIGGAN』復刻BOX」
仕様：
・vol.3は、特別編「FIRST MISSION」「GOLD RUSH」収録の“幻の12巻”付き
・全BOX皆川亮二描き下ろしイラスト使用
・単行本未収録イラストを含むポストカード4枚つき
価格：（各）3,400円（税込）
発行：小学館
※商品の仕様、発売日は変更になる可能性あり。