人間味溢れるキャラクター設定も見逃せないポイントの一つ。視聴前は、ノワール感溢れるウ・ドファンとイ・サンイのダークな演技が見られるのかなと勝手に想像していたが、良い意味で裏切られる。困った人は放っておけず、リングで対戦相手にパンチした後は相手を気遣う。キラキラとした瞳で真っ直ぐ相手を見つめ、深々としたお辞儀は謙虚そのもの。焼肉店のアルバイト経験から肉の焼き方には人一倍こだわりがあり、芯の強さが垣間見える。そんな、どこか大きなわんこ感溢れるのが、ゴヌだ。強い目力が印象的で、ボクサーとして生きたい気持ちと、猟犬になってしまう不安に揺れる彼の繊細さに惹きつけられる。一方、話し上手で、情に厚く、海兵隊の強い誇りを持っているのが、ウジン。相手が海兵隊出身と知った途端、「何期か？」と質問したくなる衝動を抑えられない一面を持つ。凄まじいアクションを描きながら、キャラクターに感情移入できるような描き方がされているのが面白く、つい応援したくなると思う。

　最後に、鍛え抜かれた肉体と高速アクションも、本作を語る上で紹介せずには居られない。イ・サンイが、「CGのアクションとしてやむを得ない状況以外は99%直接演じた」と語っているが（※）、あまりに迫力がありまばたきを忘れてしまうほど。美しいフォームでの全力疾走や、筋トレシーン、速く重たく進化していくパンチなど、あげ出したらきりがない。2人の見応えたっぷりな肉体美を本編でご覧いただきたい。

　途中、キャストの降板もあった本作。違和感がないよう最後まで物語の展開を進めた製作陣の想いを感じる。シーズン2があれば、是非観たい。

参考

※ https://news.kstyle.com/article.ksn?articleNo=2219206

■配信情報
『ブラッドハウンド』
Netflixにて配信中
出演：ウ・ドファン、イ・サンイ、ホ・ジュノ
原作・制作：キム・ジュファン