天海祐希が示してくれる“歩むべき道” 『合理的にあり得ない』で生きる視聴者からの“信頼”
絶対に、どうにかしてくれる。そう信じさせてくれる力が、天海祐希には備わっている。現在放送中のドラマ『合理的にあり得ない〜探偵・上水流涼子の解明〜』(カンテレ・フジテレビ系/以下『合理的にあり得ない』)で演じている女探偵・上水流涼子は、視聴者からの彼女への“信頼”が存分に生かされている役柄だ。
天海といえば、これまで“カッコいい”と言われるキャラクターを多く演じてきた。たとえば、『BOSS』(フジテレビ系)の大澤絵里子や、『緊急取調室』(テレビ朝日系)の真壁有希子。業務をバサバサとこなしていく彼女の姿を見て、「こんな女性になりたい」と憧れたり、「上司にいてくれたらあなぁ……(ちょっと大変かもしれないけど)」なんて妄想を弾ませた経験はないだろうか。現実にいそうで、いない。そんな現実離れしたオーラを纏っているのも、天海の魅力のひとつだ。
ただ、その一方で『Around40〜注文の多いオンナたち〜』(TBS系)の緒方聡子のような等身大の役柄も見事にこなしてしまうのだから、すごい。“アラフォー”という言葉が流行するきっかけにもなったこのドラマは、女性が憧れる“カッコいい女”天海が、仕事や恋愛、結婚に悩んでいく姿が描かれた。放送当時の私はまだ幼かったため、どうしても“若さ”に執着してしまっていたのだが、聡子を見ていると「年齢を重ねるのって楽しいことなのかも」と思えてきたのを覚えている。
天海は、ドラマや生き様を通して、私たちが歩むべき“道”をいつも示してくれる。そっと、導いてくれる。いくつになっても強く明るく、エネルギッシュに駆け回っている彼女を見ると、「私ももっと強くならないと」と鼓舞されるのだ。
しかし、弱者に寄り添う姿勢を忘れないのも、天海の素敵なところ。『合理的にあり得ない』でも、彼女が持つ“真の優しさ”のようなものが、存分に生かされてる。
たとえば、悪を体現している不動産ブローカー・神崎恭一郎(髙嶋政伸)のことは奈落のそこまで突き落とすけれど、彼に苦しめられてきた妻や被害者のことは守り通す。上水流が使う手段は“あり得ない”ものかもしれないが、ついつい「頑張って!」と応援したくなっている自分がいる。