『ブラッシュアップライフ』幼い頃の自分に切なくなる 2周目の人生で色づく“嫌な思い出”

 シール交換に、手紙交換、そしてプロフィール帳交換……。あの頃の私たちは、とにかくいろいろなものを交換していたなぁとエモーショナルな気分になった『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)第2話。来世も人間として生まれ変わるために、人生をゼロからやり直している麻美(安藤サクラ)は、前世(?)の記憶を持っているからちょっぴりズルい。ブームになる前にたまごっちのレア品をゲットできるし、勉強をしなくても上位の成績をキープ。あの頃、必死にやっていたシール交換だって、わりと俯瞰して行うことができる。

 今考えてみると、私たちはシール交換で初めて“交渉”というものを学んだのかもしれない。貼ると、シール帳がぷっくりとするタイルシールを持っている子は、交渉のなかで優位に立つことができる。タイルシールと交換してもらうためには……と頭を巡らせていくうちに、交渉術が養われていくのだ。「普通のシール3枚あげるから、タイルシールちょうだい!」とお願いしたり、欲しいシールを手に入れるために、大事にしてきたシールと泣く泣くお別れをしたり。あの頃の私たちは、どうしてあんなに一枚のシールに必死になっていたのだろう。そして、バカリズムはどうしてシール交換をしていた頃の気持ちを、こんなにも鮮明に覚えているのだろう。大人になった今では、たとえレアなシールでも簡単に買えてしまう。だけど、あの頃レアシールを手に入れた時の気持ちは、もう取り戻すことができない。そんな自分に切なくなるのが、『ブラッシュアップライフ』の醍醐味とも言える。

 そんなこんなで中学生になった麻美は、2度目の思春期を迎えた。2周目の人生では、父に優しくしてあげようと心に誓ったはずなのに、身体が勝手にイラッとしてしまう。だいぶ空気の読めない父・寛(田中直樹)に、大人としての対応をしようと頑張るのに、どうしても強く当たってしまう麻美が、なんだか愛らしい。

 中学生の心を乱すのは、親だけではない。何にでもイラッとしてしまう年頃に、ミタコング(鈴木浩介)のような教師がいたら、反抗的な態度を取ってしまうのも無理はないだろう。あの頃の私たちは、ボキャブラリーが少なくて、何を言ってもうまく丸め込まれてしまっていたが、麻美の精神年齢は33歳。「お前たちのせいで、みんなの大事な授業時間が奪われているんだぞ!」と、手紙交換をしていた生徒を叱咤するミタコングに「2人は授業に関係ないことをしたけど、授業の時間を使って怒ってるのは先生の判断なので、そのことで2人を責めるのはちがうと思います」と言い返してやった。結局、うまく丸め込まれてしまったわけだが、麻美の一言でスカッとした人も多いのではないだろうか。

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