岡田准一「待ってろよ、俺の白兎」のインパクト 『どうする家康』で松本潤に与える影響
徳川家康といえば、狸おやじや姑息に虎視眈々と天下を狙った人物というイメージが強いが、松本演じる家康は臆病で優柔不断、どこか頼りない人物として描かれており、新鮮だ。家康は6歳で人質に出され、織田家、次いで今川家に預けられる。今川義元の下での人質生活は決して辛く苦しいものではなかったが、家康は三河の九代当主としての自意識が足りないまま、背負いたくない重荷を背負い、歩みたくない道を歩むことになる。もしかすると、家康にのしかかる年不相応な重圧と、松本にのしかかる大河ドラマ初出演にして初主演という大役へのプレッシャーは似ているのではないだろうか。のちに名将として覚醒する家康の姿と、1年間同じ役を演じ続ける松本の役者としてのさらなる成長がリンクすれば、「どうする!?」と追い込まれながらも強くなっていく家康の姿にリアリティが生じることが期待される。
となれば、時代劇において松本と経験差のある岡田が信長に配役されたのも、信長と家康の関係にリアリティをもたらすためなのではないか。家康は武将としてはまだまだ未熟で、信長は常人離れした思考と革新的な戦術で乱世を勝ち抜くカリスマだ。力の差、経験の差は歴然なのだから、今はまだ、岡田の存在感が松本を食ってしまったとしても、それは演出の思惑通りという可能性が考えられる。
物語は始まったばかりだが、今後期待されるのは、岡田の演技と織田信長という存在が礎となった松本自身と徳川家康の成長だ。家康が天下統一を成し遂げるとき、松本がどのような演技を見せるのか、松本の顔つきがどのように変わっているのか、今から楽しみだ。
■放送情報
『どうする家康』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアム、BS4Kにて、毎週日曜18:00~放送
※初回15分拡大版
主演:松本潤
脚本:古沢良太
制作統括:磯智明
演出統括:加藤拓
音楽:稲本響
写真提供=NHK