ヨ・ジングが、全ての感情を表すことができるかのように卓越した眼差しに込める心情。本作でも、それが遺憾なく発揮されており、ヨングの心の窓としての瞳に、怒り、悲しみ、驚き、嬉しさ、戸惑い、恋のトキメキ、嫉妬、深い愛情が浮かんでは消えていく。ヨングがロボットとしてプログラミングされた言葉を話しているときと、感情を持ち始めた時、ダダへの愛情から苦しむ姿まで、眼差しの違いの演じ分けが素晴らしくて、ぐいぐい惹きこまれてしまう。

　物語の前半では、ヨングが目覚めた時から構ってほしい犬感が満載で、ひたすらにかわいい姿を拝める。にこやかに笑みを浮かべるヨングの衝撃的な裸エプロンや、どこか昭和感が漂う学生服姿、しっくりくる時代劇の衣装やミニ丈バスローブにカッコいいスーツ姿と、ヨ・ジングのさまざまな衣装チェンジはさながらコスプレのよう。その姿を楽しむだけでも本作を見る価値は十分だといえる。大きな犬が大好きなご主人様に褒めてもらいたくて甘えるような、健気なヨングの姿と対照的に冷たくあしらうダダ。前半の展開が、後半にボディブローのように効いてくる。

　ファンタジーラブコメ作品として、全体を通して、笑いあり、涙ありの軽めのラブコメとして楽しみながらも、涙を誘う展開や胸にグッとくるところもあり、SNSでは「号泣した」の声も。“本当の愛とはなにか”ということを教えてくれるような胸に響く言葉も多い。ロボットと人間が共存する未来はすぐそこまで来ているのかもしれない……。その時、ヨングのようなロボットが未来に現れたら人はどうするのだろう。本作の中で、ダダがヨングを愛していることで周囲からいろいろなことを言われるが、自分ならどうだろうか？

「やあ！　ヨジャチング！」

　ヨングのような恋人ロボットがいたら楽しいだろうか？　そんなことを夢想しながら、ヨングとダダとワンジュンとボウォンの愛の姿を楽しむのもオススメだ。

■配信情報
『絶対彼氏。』
Netflix、U-NEXTほかにて配信中
出演：ヨ・ジング、パン・ミナ、ホン・ジョンヒョン
演出：チョン・ジョンファ
脚本：ヤン・ヒョクムン