宮下兼史鷹、『RRR』のアツい友情に興奮 “カッコ良すぎて面白い”インド映画の魅力

 お笑いコンビ・宮下草薙のツッコミとして活躍する宮下兼史鷹。芸人としての顔以外にも、ラジオや舞台など多岐にわたる活躍をしている。おもちゃ収集が趣味、サブカルチャーに精通している無類の映画好きである彼の新連載『宮下兼史鷹のムービーコマンダー』。第2回となる今回は、10月21日公開の映画『RRR』とインド映画の魅力について語ってもらった。

「宮下兼史鷹のムービーコマンダー」第2回『RRR』

男の友情を描かせたらインド映画の右に出るものはいない?

――本作は英国植民地時代のインドを舞台に、村から奪われた少女を奪還しようとするビーム、そしてそれを阻止するイギリス政府の警察に所属するインド人のラーマ、立場の違う2人の男の数奇な巡り合わせを描いたアクション映画です。「奪われた少女の奪還」というプロットと笑ってしまうくらい破茶滅茶なアクションは宮下さんのお好きなアーノルド・シュワルツェネッガー主演の映画『コマンドー』を彷彿とさせますね。

宮下兼史鷹(以下、宮下):確かにそうかもしれないですね。「娘を助けに行く」っていうアクション映画はこの世にたくさんあるものの、その礎と言っていいのかわかりませんが『コマンドー』は代表作なので、そこのエッセンスを感じさせるのはすごく良いですよね。しかし、インド映画のアクションのやり方はシュワちゃんの映画とはまた違う魅力があります。重たさを感じないというか、筋肉隆々だけどすごく素早いやつが多くてかなり動けるんですよね。シュワちゃんはパワーでねじ伏せていく感じなので、そういう意味では差別化もできて、インド映画のアクションもとても良いなと感じています。僕はシュワちゃん信者なので、その僕が良いと言うのだから相当良いはず!

――全編を通して人並み外れたパワーを持つビームとラーマが、運命的な出会いを経て友情を育むストーリーがアツかったですね。

宮下:そうですね。もはやイチャイチャしていると言ってもいいくらい、男同士の友情をキャッキャと育む。しかし、観ているこっちとしても別に恥ずかしいとも思わないし、「なんかいいな」っていう感覚も持てる。俺、ビームとラーマがある出来事を通して友達になる場面がこの映画で特に好きなシーンなんです。「その友達のなり方、俺見たことない!」っていうのがすごく面白かった。ヒーロー気質の男同士が友達になる術って、もしかしたらあれが大正解なんじゃないかな。ヒーロー同士が友達になるシーンにおいて、今後のマストになっていきそうなくらい好きな描写でしたね。ちょっと詳しくは言えないので、劇場でぜひ注目してほしいです。

ーー確かに、あんな壮大で激しい友達のなり方は観たことがなかったです(笑)。

宮下:そうなんですよ。「え? お前らどこで知り合って友達になったの?」って聞いてあのくだりを説明されたら、めちゃめちゃ笑いますもん。それくらい良い。最初からもう運命だったというかね、2人が絶対にここから友情関係を育むのだろうなと思わせる息の合い方や、目配せでお互いを理解するところなど。あれで初対面ですからね(笑)。なかなかあんな友達は日常生活では手に入らないはずです。

――お互い正義心が高いからこそ、ああいう出会い方ができた一方で、立場の違いによるすれ違いも見どころですね。

宮下:そもそもインド映画での男性の描かれ方って、他の映画にはないカッコよさがある。髭が似合う渋くてワイルドな男性像というか、そのキャラクターの生き方にも説得力があるし、あのなんとも言えない表情。ちょっと上目遣いのあの感じ、なんて呼んだらいいのか名称が欲しいくらい。あれはインド映画でしか味わえないように思えるし、そういう意味ではそんなワイルドなキャラ同士が友情を育んでいく物語は、とてもそそられるものがありますよね。僕、リティク・ローシャンという俳優が本当に大好きで、今若手で人気が出てきているタイガー・シュロフっていうものすごくムキムキで動ける俳優さんと共演した『WAR ウォー!!』という映画がありまして。それも強い男同士の友情を描いた作品なんです。今、男同士の友情を描かせたらインド映画の右に出るものはいないなっていうぐらい、やはり良いんですよね。

ーーほかにも、インド映画ならではと言えば、ダンスシーンがありますね。

宮下:ビームとラーマが王宮のパーティに参加するシーンはすごく印象的でしたね。とにかくやはりインド映画のダンスシーンって楽しいし、歌もすごく耳に残って映画を観た後も口ずさみたくなるような曲が多い。そんな中、本作のダンスは“ダンスバトル”なんですよね。イギリスの偉い人たちがたくさんいる中で、2人のインド人が突然やってきて、どういう踊りでイギリス人に勝つかみたいなところを描いている。これまではダンスバトルっていうと、芸術性や見たことのない動きで点数を稼ぐものなのかなって思っていました。でも、この作品のはシンプルにもうスタミナなんですよね。結局、最後は体力勝負になっているのが観ていて面白かった。ある劇場では上映中、あのシーンでみんなが立って踊ったという話もあるくらい、やはりすごい魔力というか、魅力が詰まっている踊りでした。

――予告編にもあった、ビームが猛獣を檻から放つシーンもインパクトが強かったですね。

宮下:あそこのシーン、もうすごいですからね。盛り上がりが天井をぶち抜きました。期待していたけど、やはり面白かったシーンです。あの映像を事前に見ていたからこそ、劇中「今かな、今かな」みたいな感じで観ちゃっていました。そこでついにそのシーンになった時の「うわーっ!」ってなり方がすごかった。S・S・ラージャマウリ監督は、人が動いてるものに乗りながらカッコつける、みたいな撮り方が上手いんですよね。あれは多分、監督の得意技の1つなんだろうなと感じました。動物たちがバーっと飛び出して、てんやわんやする後のアクションも最高です。

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